子どものためのクリスマス・オーケストラ・コンサート
音の厚みや迫力、また様々な楽器があることも、子供たちにとってはよい興味の対象になると思います。
平成23年12月24日 第一生命ホールで行われた、「子どものための クリスマス・オーケストラ・コンサート」を鑑賞に行きました。
クリスマス・イブの土曜ということもあり、チケットを渡す入り口やクロークは混んでいましたが、対応がスムーズであまり待った感がありませんでした。
私たちの席は二階席でしたが、他のお子さんが通路を走ったり、手摺りに身を乗り出していると、「危ないので、やめてくださいね。」と速やかに係員の方が声をかけていました。以前からこの様な声かけはありましたが、プログラムに掲載された具体的な注意事項も含め、より配慮が増しているような印象を受けました。
今回はオーケストラなので、それまでの室内楽にくらべ楽譜を置く台が多く並んでおり、娘が「今日はたくさんあるね。いつもより楽器がたくさんあるのかな?」と言っていました。そしてステージ上に奏者が出てきて、チューニングを始めると「今から始まるから、練習しているんだね。」と、少しわくわくした顔になりました。
プログラムに沿って、演目の様子や感想を述べていきます。各曲でメインとなる楽器があり、その演目内で各楽器の解説をしていく、というものでした。
1.ヘンデル:「水上の音楽」より「アラ・ホーンパイプ」 (金管楽器)
ステージ上にトランペット、そして二階席ステージ横にトランペットとホルンが現れました。 二階席なので、すぐ近くに楽器の音色やキラキラ光る様子を感じました。
ステージ上の伴奏が進む間に、トランペットとホルンが一階のステージに降りてきて次の旋律へ繋いでいく、というパフォーマンスも良かったです。始まりにぴったりの明るく、セレモニー感のある曲でした。娘は手摺りをピアノの鍵盤のようにして、リズムを取っていました。この曲の最初のメロディはとても有名で、どこかで聞いたことのある曲、といえます。しかしその後の旋律は知らなかったので、こんな展開の曲なのだな、という発見がありました。
演奏後は、奏者から「ラッパはどのようにしたら音が出るか?」という三択クイズが出されました。子供たちは皆元気に答えていて、とても活気がありました。娘は「学校で見た!」とトランペットを指差し、音楽の授業で見たと喜んでいました。唇を震わせて音を出す、とは知らず(私もですが)二人でへぇ~となりました。「ピッコロ・トランペットはトランペットより1オクターブ音が上がる」、「馬に乗ったまま吹くときに、馬がびっくりしないよう、ホルンの先は曲がっている」等々、へぇ~、なるほど~の連続でした。
2.バッハ:「2つのヴァイオリンのための協奏曲より第1楽章」 (弦楽器)
いかにもバッハ、というメロディの掛け合いが美しい曲でした。二人のソリストの演奏は素晴らしかったです。
ヴァイオリンの他にチェロ・ヴィオラ・コントラバスがステージ上に。
ヴァイオリンの弦は羊の腸をよったもの、とは知りませんでした。現在はナイロンに金属を巻いたものが主となっているようです。
毎回ですが、コントラバスの大きさ、低く太い音に娘が驚いており、目の前で実際に聴かせる良さを感じます。
3.チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」より「行進曲」「アラビアの踊り」「トレパック」(木管楽器)
この「行進曲」もよく耳にしたことのある曲で、娘も知っていたようです。曲が始まると、両手で手摺りをトントンとし、自分も演奏しているようでした。
「アラビアの踊り」は木管楽器の優しい音色が生かされた、幻想的で素敵な曲でした。
「トレパック」もまた、皆よく知っている曲の様でした。娘も含め、子供たちの顔があっ!となっていたのが印象的でした。
クラリネットとオーボエはよく似ていますが、リードの長さが違い、音色も異なることを教えていただきました。また、ファゴットにはあまり馴染みがありませんでしたが、優しい音色で素敵だなと思いました。
4.アンダーソン:そりすべり/クリスマス・フェスティバル(打楽器)
この演目では、事前に申し込んだ子供たちが、ステージ上で演奏が聴けるという設定になっていました。
「そりすべり」が始まると、シャンシャン...という鈴の音に「キラキラ星でやった!」と娘が喜んだ顔をしました。
プログラムに「打楽器奏者は大忙し」とあるように、鈴を鳴らし、スネアドラムを叩き、鐘を打ち...と大活躍!「楽しい、わくわくするよ!」と娘も大喜び。
木の板を2つ合わせたような楽器は何に使うでしょう?と、演奏前に司会者からクイズが出されました。これは馬を叩くときのムチの音がする楽器でした。「ここでつかうんだね!」と娘もいつ使うのか気になっていたようです。
それだけ、打楽器奏者が次から次へ色んな音を出していて、次は何だろう?と子供たちをわくわくさせて、集中させていたんだろうなぁと思います。
「ジングルベル」になると、ステージ上だけでなく、座席の子供たちも盛り上がり、皆、笑顔で手拍子をしていました。
5.ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」より第1楽章
このコンサートで演奏しているアルクスは、指揮者のいない室内オーケストラ、ということです。
指揮者がいない中で、合奏するのは難しさもあるようですが、演奏は素晴らしく、この迫力はオーケストラならではだなぁと嬉しく感じました。
最初の旋律で「聞いたことある!」と娘も音楽の授業で知っているようでした。大きい音に驚き、耳を押さえるところもありましたが、これも生のオーケストラならでは。弦の弾く音も聴こえ、臨場感がありました。
プログラムには「運命」というタイトルは後で付けられたもので、日本以外ではあまり呼ばれていません。 とあり、クラシック好きの人には常識であっても、そこまで知らない人にとっては初めて知るような、この様な知識が掲載されていると、役立ちますし 子供たちにも自然に浸透するのかなと思いました。
6.グルーバー:きよしこの夜
オーケストラの演奏に合わせて、皆で歌いました。
クリスマス・イブにぴったりの、素敵なフィナーレでした。
娘が小学生になり、音楽の授業があるようになったためか、知っている楽器や曲、音色が以前よりも増えており本人が聴きながら、飽きずに楽しんでいるのが印象的でした。知識としてとっかかりがある分、自然と興味を持てたのかも知れません。
それまではソロや室内楽が多かったので、オーケストラで聴くことの良さも改めて感じました。音の厚みや迫力、また様々な楽器があることも、子供たちにとってはよい興味の対象になると思います。
機会がありましたら、是非また生演奏を聴きに伺いたいと思います。
今回は素敵なコンサートをありがとうございました。
公演に関する情報
〈ライフサイクルコンサート#69〉
子どものためのクリスマス・オーケストラ・コンサート
日時:2011年12月24日(土)14:00開演
出演:ARCUS(アルクス)