アドヴェント&クリスマス > 2010.12
クリスマスコンサート2010
報告:井出春夫/会社員/2階L1列46番
投稿日:2010.12.23
愚直なまでにまじめな演奏。そして音に芯があって美しい。
午前中の「子どものためのクリスマスコンサート」に引き続き、午後の4時から「クリスマスコンサート2010」が行なわれた。これまで、多くの名演、熱演を生んだコンサートで、コンサートを聞き終えると体が熱くなっていた。このクリスマスコンサートが始まった当初は、2日間コンサートがあり、1日目がホールを支援してくださる企業や個人会員そしてサポータのためのコンサートそして2日目が通常のコンサートである。毎年、オーディションで選ばれた受講生が違うのでできてくる音楽も違うのが面白かった。そして、最近はよくわからないけれど、3年連続でアドヴェントセミナーに参加した人もいた。また、最初の頃松原先生は、ヴァイオリン協奏曲を弾かれていたが最近は弦楽合奏になった。
クリスマスコンサートを聞く時、私が最初に目が行くようになったのは松原先生だ。
これもこのコンサートが始まったころのことだが、3年目くらいまで松原先生は、全身でオーケストラを引っ張っているようだった。それについていくかのように必死にオーケストラがついていくというような感じだった。その光景を思い出させるような演奏会だったのが前年のクリスマスコンサートだった。
さて、今年のコンサートである。今年の演奏はといえば、愚直なまでにまじめな演奏。そして音に芯があって美しい。
第1曲目は、キッズの時と同じモーツァルトの「ディベルティメント」。キッズの時よりは若干テンポを落としている。この方が音を感じながら弾いてるみたいで私は好きだ。
パッヘルヴェルの「カノン」は素朴な感じの演奏で魅力的である。
ブリテンの「シンプルシンフォニー」はキッズの時もよかったが、こちらは真剣勝負(キッズは少しショウ的な見せ方をしていた)音楽に食らいついて行くような気合の入った演奏である。
フランセの「3重奏曲」はすばらしい演奏。松原先生も、山崎先生も、川崎先生もそれぞれ自由に弾いているみたいなのに息がぴったりだし、真剣勝負なのに楽しそう。
最後は、ドヴォルザーク「弦楽セレナーデ」これはアドヴェントセミナーの総決算という曲で3人の講師の先生が各パートのトップで一緒に弾いてくださる。とっても幸せで、色々勉強になったのではないだろうか。演奏はとても美しく集中力が高い。音が体に染み込んでくる。そして、音が輝いている。アンコールは、「きよしこの夜」コンサートの中でも演奏された(山本祐ノ介編曲)がアンコールは中川俊郎編曲のもので、だいぶ前に聞いたときは少しわかりにくいと感じていたが、最近は中川さん編曲のものが聞いてみたくなっていた時であったのでとても嬉しかった。
ところで、このアドヴェントセミナー受講生によるクリスマスコンサートも今回で最後となってしまうようだ。とても残念なことである。長い年月の間には多くの卒業生がいた。
ここで終わってしまうわけだが、アドヴェント受講生の皆さんとこれからもつながりを持っていくことが大事なのではないだろうか。講師の先生方ともそして地域の方々とも。
皆さん今後ともよろしくお願いします。
公演に関する情報
クリスマスコンサート2010
日時:12月23日(木・祝)16:00開演
出演:松原勝也(ヴァイオリン)、川崎和憲(ヴィオラ)、山崎伸子(チェロ)、アドヴェント弦楽合奏団
子どものためのクリスマスコンサート
報告:井出春夫/会社員
投稿日:2010.12.23
ホールの中もいつものコンサートとは少し感じが違って仄々としている。
12月23日、第一生命ホール恒例になっているアドヴェント受講生による恒例のクリスマスコンサートが開かれた。この日の公演は、朝10時30分開演のキッズのためのコンサートと16時開演の「クリスマスコンサート2010」の2公演。12月クリスマスの頃ともなると、晴れていても朝は寒い。午前中のコンサートにはどれだけお客さんが来られるのだろうと思いながらホールに向かう。結果としては、ホールはほぼ満員で、それも家族でコンサートにいらした方が多いように感じた。朝のコンサートは出かけてくるには、大変かも知れないけど午後の時間が他のことに使えるという意味では非常に効率がいい。ホールの中もいつものコンサートとは少し感じが違って仄々としている。
最初の曲は、モーツァルト「ディヴェルティメントK.136」テンポがかなり速い。演奏者はかなり弾ける人達なのだが、もう少し余裕があったほうが私はすきだ。
この曲を聞いていてはっとしたことがある。ヴァイオリンがステレオのように聞こえる。
そして、ステージをよく見てみると、ヴァイオリンが左右に分かれて座る対向配置になっていた。今年で10回を数えるクリスマスコンサート(キッズのためのコンサートとしての回数は少ないが)としては、初めてである。確かにこの曲は、この並びの方が魅力的に聞こえる。
パッヘルベル「カノン」は、とても丁寧な演奏。バッハ「主よ人の望みの喜びよ」はチェロがメロディラインを担当した編曲で、聞きやすくとても楽しかった。
そして、クリスマスには定番の「きよしこの夜」(山本祐ノ介編曲)であった。
この曲の終了後、松原先生の呼びかけで子供たちがステージに上がり音楽を聞いてもらう(事前予約制)ため子供達はステージ後方の長椅子に座わった。この際、長椅子に空席ができてしまったところがあり、客席から見るとバランスが悪く感じた。
松原先生による楽器紹介。各楽器の紹介に使われた曲は子供達のよく知っている曲が多く取り上げられた。ブリテンを聞く。松原先生がピツィカートのやり方を説明すると客席で真似をしている子がいたり、楽器紹介の時もそうだったが客席の反応がいい。
シンプルシンフォニーは、骨太のしっかりした演奏である。また、セコンドヴァイオリンは、ピツィカートを胸に抱えながらギターのように弾くなど見せ方などを工夫していて楽しかった。そして、最後は、3人の講師の先生方と普通の並びでドヴォルザークの弦楽セレナード。とても綺麗だった。
このコンサート中ずーと立ってステージを熱心に見ていた男の子がいた。小さな子供達には椅子に座っただけだとステージが見えにくかったのではないかと思う。また、休憩なしで行なうコンサートとしては、子供達には少し長かったのではなかったか。演奏途中でトイレに行かれた人が何人かいた。曲目を減らすか、思いきって休憩をはさんだ方がよかったのではないかと思う。
公演に関する情報
子どものためのクリスマスコンサート
日時:12月23日(木・祝)10:30開演
出演:松原勝也(ヴァイオリン) 川崎和憲(ヴィオラ) 山崎伸子(チェロ) アドヴェント弦楽合奏団
アドヴェントセミナー 室内楽ロビーコンサート
報告:佐藤浩子/TANサポーター
投稿日:2010.12.22
受講生達の若い力がロビーという身近な空間でズンズン伝わってきました。
前夜から降り続いた雨も明け方にやみ、12月にしては暖かな快晴になったこの日、アドヴェントセミナー受講生が10日間の練習の成果を発表するロビーコンサートが行われました。当日はロビーコンサートを待ちわびていたお客様が開場とともに入られあっという間に100席の椅子は埋まりました。
プログラムは、
Ⅰ ハイドン:弦楽四重奏曲第62番変ロ長調(全楽章) 約19分
松原勝也(1stVn)講師&受講生3人
Ⅱ ドヴォルザーク:弦楽五重奏曲第2番ト長調(全楽章) 約34分
山崎伸子(Vc)講師&受講生4人
10分間の休憩をはさみ
Ⅲ ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番ハ短調(第1.2.4楽章)22分
市坪俊彦(Va)講師&受講生3人
Ⅳ メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲変ホ長調(全楽章) 約32分
川崎和憲(1stVa)講師&受講生7人
と、ホールでのコンサートを聞いているような、聞き応えのあるコンサートでした。
受講生達の若い力がロビーという身近な空間でズンズン伝わってきました。
今回、お子様連れのお客様も15組ほどいらっしゃいましたが、1作曲家だけ聞いて帰られたり後半だけ聞いていたりと小さい子供が飽きないようにお母さんが工夫していました。そういうことが出来るのもロビーコンサートの良い点だと思います。
このアドヴェントセミナーは10年前に「若い音楽家がプロの演奏家として社会にはばたいてゆくのを応援しよう」という主旨のもと毎年12月に行われていましたが、残念なことに今年で最後となるそうです。
これからもどこかのホールでこのアドヴェントセミナーの卒業生達の演奏を聞ける事を期待しています。
公演に関する情報
アドヴェントセミナー 室内楽ロビーコンサート
日時:2010年12月22日(水)12:15開演
出演:松原勝也(ヴァイオリン)、川崎和憲/市坪俊彦(ヴィオラ)、山崎伸子(チェロ)、アドヴェント弦楽合奏団