2011.11.17
昼の音楽さんぽ 第7回
カルミナ四重奏団~クラシック・グレイテスト・ヒッツ~
報告:Y.K/会社員
投稿日:2011.11.17
更に、プログラムの楽曲解説が新鮮だった。
柔らかい表現でわかりやすくユーモアもあり、解説者の人柄が伝わってくるようだ。
日中の1時間のコンサートは初めての経験だったが、これほど楽しいものだとは思いもしなかった。1時間であれば気軽に行ってみようという気持ちになれるし、安価な料金設定も良い。実際、客席には和やかな雰囲気があった。親子連れもいる。カルミナ四重奏団も心なしかリラックスしているように見えた。
また、よく練られた選曲だと感じた。四重奏曲の入門篇になっているところが興味深い。テレビなどでよく耳にする曲であっても、生演奏で聴く機会はあまりないように思われる。普段クラシック音楽を聴かない人にとっても親しみやすいだろう。しかも、これらを著名なカルミナによる演奏で聴けるのだから、非常に贅沢な気分だ。更に、プログラムの楽曲解説が新鮮だった。柔らかい表現でわかりやすくユーモアもあり、解説者の人柄が伝わってくるようだ。
ヴィオラ奏者が演奏前に解説するスタイルも面白かった。NHKでおなじみの「弦楽四重奏曲ヘ長調 セレナーデ」。作曲者がハイドンではなくホフシュテッターであることを、あれだけ強調されれば、観客の記憶にしっかり刻まれたに違いない。
ヴィヴァルディ「四季」では、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリン奏者が入れ替わるという遊び心も。観客に楽しんでもらおうとする気持ちが伝わってきた。
また、パッヘルベル「カノン」、モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」など名曲たる所以を、美しい音色によって改めて実感した。
「ギター五重奏曲 ファンダンゴ」の弦楽四重奏版は心踊る曲だった。弓の動きなど視覚的にも面白い。プログラムによれば作曲者のポッケリーニはチェロ奏者だったとのこと、そのせいかチェロのパートがひときわ格好よく聴こえる。
ハイドンの「弦楽四重奏曲皇帝」の曲は、実は私にとってあまり良い印象がなかった。演奏の経験はないが、多声音楽を学ぶ一環で譜面を読んだことがあり、四苦八苦させられた思い出がある。しかしカルミナの手から流れてくるのは完璧な美しさばかりだ。
最後のジミ・ヘンドリックス「パープル・ヘイズ」弦楽四重奏版は、CDで聴いたことはあったが、生演奏は迫力が違う。怒涛の疾走感に酔わされた。ヴァイオリン奏者の生真面目な表情で速弾きする様は、笑いをこらえたくなるほど。
こうして楽曲や演奏を楽しむだけでなく、カルミナの普段とは違う一面を見ることが出来たのも嬉しい体験だった。ホールにいた全員で親密な時間を過ごしたかのような余韻があり、温かい気持ちで帰途に着いた。
「昼の音楽さんぽ」とは言い得て妙だ。次回は友人を誘って「さんぽ」に出かけたい。
公演に関する情報
昼の音楽さんぽ 第7回
カルミナ四重奏団
~クラシック・グレイテスト・ヒッツ~
日時:11月17日(木)11:30
出演:カルミナ四重奏団