ふたりでコンサートⅧ~オペラの楽しみ~
報告:井出春夫/会社員
投稿日:2011.10.8
他の曲もどの曲も素晴らしく思わず口ずさみたくなるほどでした。
「ふたりでコンサート」を聞くのは第1回以来だから8年ぶりになります。サポータとしてホール内にいたのが2回ぐらい。毎年人気のコンサートで、ほぼ満席に近かったようですが、今年はお客さんがちょっと少ない感じがしました。そういえば第1回もお客さんが少なかったから、「お客さんが少ないのは私のせい?」などと考えながら開演時間を待ちました。
プログラムをみると、ドニゼッティの「人知れぬ涙」以外は、オペラ音痴の私でも名前を聞いたことのあるオペラで、その中でも2番目、3番目位に有名な曲のように思え、かえって新鮮な感じがしました。
このコンサートで案内役を務めてくださったのは、メゾ・ソプラノの牧野さん。とても話し上手でいらして、歌われている内容や場面を楽しく話してもらえたおかげでアリアもリラックスして聞けたように思います。
歌は、といえば、4人のソリストの方がそれぞれの思いをアリアに込めて熱唱。少しへそ曲がりな私は、「少し頑張り過ぎでは?」とか、「このホールでは、もう少し楽に歌っても、声はしっかり通るのに!」と思いました。
ピアノの河原さんが、素晴らしかったです。前奏を弾いている間にいつのまにかそのアリアの場面設定を作っていました。そして、ただよりそって伴奏しているのではなく表情も豊かで素敵でした。
第1部は、アリアの歌詞を字幕で出していたのですが、今一つはっきりしないように思いました。原因としては字幕を写す場所が、ステージの照明で少し明るすぎて字幕の色が写した場所の色に近い色だったのではないのでしょうか。字幕を写すならばもう少し暗い方がいいと思いました。でも、牧野さんの楽しいお話や私以外のお客さんの反応をみると、字幕が特になくても十分楽しまれているように感じました。
第2部は、「あの頃に戻って」という題でした。歌い手の皆さんも第2部では少しリラックスムードのようでした。「レット・イット・ビー」や「上を向いて歩こう」は特にぐっときましたし、「上を向いてあるこう」を作曲した中村八大さんもとても素晴らしいジャズピアニストだったなぁなんて思い出しながら聞きました。「赤いサラファン」は学校でも習ったし、好きな曲で、個人的には低音で聞きたかったので、アルト牧野さんが丁寧にそしてとても温かく歌って下さりとても良かったです。一方「アメイジンググレイス」は、どちらかといえば、高音(ソプラノ、テノール系)でと思いましたが、バリトンの久保田さんは、どちらかといえばモノトーンの音色でまるでお祈りをしているかのように淡々と歌いました。「渋い」といっていいのでしょうか?この曲で今までにない感動をおぼえました。また、久保田さんは、デュオやアンサンブルでもとてもいい味を出しているように感じ、この人は、もしかすると何人かで一緒に歌ったり合唱なんかも好きなのでは?と勝手に思いをめぐらしたりしました。
他の曲もどの曲も素晴らしく思わず口ずさみたくなるほどでした。松浦さんの張りのあるテノール、光岡さんの美しいソプラノが魅力的だったことも印象に残りました。オペラから美空ひばりまでいろいろなジャンルの歌を堪能でき、肩のこらない楽しいコンサートをありがとうございました。
公演に関する情報
ふたりでコンサートⅧ~オペラの楽しみ~
日時:10月8日(土)14:00
出演:光岡暁恵(ソプラノ) 牧野真由美(メゾ・ソプラノ) 松浦健(テノール) 久保田真澄(バス) 河原忠之(ピアノ)