2011.1.29
クァルテット・ウィークエンド2010-2011"Galleria"
クァルテット・エクセルシオ 《Quartet+(プラス)》
報告:岩田映美/世田谷区在住
投稿日:2011.01.29
憧れの小山さんの技を少しでも戴きたいと、ペダルの使い方を拝見しようと思っていたが、気がつくとそんなことは忘れて聴き入っていた。
やっぱりすごいなぁ。
ピアノの音を聴くと、つい「学習耳」になってしまいがちな私にとって、弦楽四重奏は心底から音楽を楽しめる貴重なものである。
この日のコンサートは、弦楽四重奏だけでなく、ピアノ五重奏もあったので、どんな感じに聴くことが出来るかも興味があった。しかもピアニストは、ラッキーなことに小山実稚恵さん。大好きな姉弟子と同い年のせいか、学校は違ったけれど、憧れの存在だ。
前半のプログラムはクァルテット・エクセルシオ。弦楽四重奏ファンに言わせると「かゆい所に手が届く」演奏だそう、どんななんだろうと期待に胸を膨らませつつ。とても自然な呼吸で音楽が流れて行く。作為的な感じがまったく無く、とてもロマンティックなボロディンも、音の難しいリゲティも、ピリピリした感じがないのに、音楽のベクトルがぶれずに4人のメロディーラインが滑らかに綴られていく。たまたま目にしたインタビュー記事に、「始終相談(四重奏団)しています」とあったが、この見事なアンサンブルは、それぞれの考えや想いを語りつくして作り上げられたのだろう。クァルテット・エクセルシオの世界を堪能することができてとても幸せだった。
後半は、いよいよ憧れの小山実稚恵さんの登場だ。
ピアノは音の大きな楽器、しかも響きの良いホールでバランス良く弾くことは難しいと思うのに、小山さんの音は、驚くほど弦楽器の音に溶け込んでいた。しかも、弦パートのメロディーの背景の役にまわっている時も、控えめであっても決して無表情になること無く美しくサポートしていた。
憧れの小山さんの技を少しでも戴きたいと、ペダルの使い方を拝見しようと思っていたが、気がつくとそんなことは忘れて聴き入っていた。やっぱりすごいなぁ。
学生時代、憧れの姉弟子の後姿を追いかけるように練習したものだったが、このコンサートの記憶を頼りに、しばらくは小山さんの響きを追いかけて、トリオやクァルテットの練習を頑張ってみようと思う。
素敵な響きに出逢えたことに、心から感謝。
公演に関する情報
SQW#96 クァルテット・ウィークエンド2010-2011“Galleria”
クァルテット・エクセルシオ 《Quartet+(プラス)》
日時:1月29日(土)14:00開演
出演:【クァルテット・エクセルシオ】
西野ゆか/山田百子(ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)
共演:小山実稚恵(ピアノ)
クァルテット・ウィークエンド2010-2011"Galleria"
クァルテット・エクセルシオ 《Quartet+(プラス)》
報告:今野高/柏市在住
投稿日:2011.01.29
特にこのシューマンのクインテットは、室内楽というより、ちっちゃなオーケストラという感じ。
カルテットの表現も活き活きして外に向かって迸るよう。
今日のプログラムは、カルテット2曲とピアノクインテット。
最初の曲はボロディン。まず冒頭のチェロの旋律にビックリ。ちょっとしたカルチャーショックだ。上質のシルクのような肌触りで、胃もたれしそうな甘い曲(失礼!)を、とっても優しくさわやかに演奏。へえ、日本にもこんなに上品に洗練されたカルテットがあるんだ、なんて感心させられる演奏、甘口でも上質のワインをさらりと飲ませてくれたような感じ。
2曲目はリゲティ、恥ずかしながらこの人は知らなかった。2006年没というからついこの前まで生きていた人。
せっかくの演奏会だから、何日か前にCDを買って予習をした。最初に聴いたときは、なんじゃこりゃ、と云う感じ。現代モノの苦手な私には参った、訳わからない曲かと思った...でも、何回か聴いてみると、少し曲の造りというか、句読点が見えてくる、納得感がでてきた。
本番で演奏を見ながら聴くと、さらに言葉が聴こえるよう、軽妙な語り口も心地よい。よかった、少しはついていけた...なんて妙にホッとしたり。予想以上に楽しめた。
さて、休憩後はシューマンのピアノクインテット。
ピアノが入ると室内楽のスケールが変わる。
弦楽カルテットは、内向的な性格の音楽だけど(すみません、勝手なイメージです)、ピアノが入るとぐんとスケールが広がるような気がする。
特にこのシューマンのクインテットは、室内楽というより、ちっちゃなオーケストラという感じ。
カルテットの表現も活き活きして外に向かって迸るよう。小山さんのピアノも弦に溶け込でいるよう。私の好みを言えば、もう少しピアノのキラキラが聴きたかった。あれは意図的に抑えたのかしら?
今日のお客さんの入りはほぼ満席に近い(?)。
アンコールの時の西野さんの一言コメントで気がついた。そうか、これはピアニストの小山さん効果もあるのか。これほど上質のカルテットでも普段は集客がなかなか難しいのかな、なんて思った...。
みんな音がきれい、チェロも上品だった、特にビオラの音は聴かせてくれた、私の好み。洗練された薫り高い音楽を造るカルテットだ。
アンコールは大好きなドボルザークの3楽章。あっ、いいな、いいな、と思っているうちに終わってしまった、もっともっと聴きたかった。
私のような泥臭い人間とは、対岸にいるようなカルテット、もっといろんな曲を聴いてみたい、と思いつつ帰路に。念願の月島で「もんじゃ」の道草をした。
公演に関する情報
SQW#96 クァルテット・ウィークエンド2010-2011“Galleria”
クァルテット・エクセルシオ 《Quartet+(プラス)》
日時:1月29日(土)14:00開演
出演:【クァルテット・エクセルシオ】
西野ゆか/山田百子(ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)
共演:小山実稚恵(ピアノ)
クァルテット・ウィークエンド2010-2011"Galleria"
クァルテット・エクセルシオ 《Quartet+(プラス)》
報告:林敦子/東久留米市在住
投稿日:2011.01.29
ところが、次のリゲティの弦楽四重奏曲第1番で印象が一変する。
荒々しく激しい部分は、ボロディンの時とは全く違う、力強い演奏。
聴いているだけで興奮してしまう。
第一生命ホールの評判は、開館以来耳にしていたが、足を運ぶのは今回が初めてであった。
休日ということで、大江戸線勝どき駅から会場までの道筋、また晴海トリトンスクエア内も閑散としていて、かなり寂しい印象を受ける。ホール以外に商業施設等があると良いと思うのだが。
ホールは新しく、また座席が木で作られていて、暖かい雰囲気を感じる。心地よい気持ちで演奏に集中できる。
席は、ちょうどホールの真ん中という、視覚的にも聴覚的にも絶好のポジション。
1曲目はボロディンの弦楽四重奏曲第2番。演奏会冒頭に相応しく、しっとりと繊細な美しい曲。4人のアンサンブルが絶妙にきれいで、甘美なメロディに酔いしれた。クァルテット・エクセルシオの演奏は初めて聞いたが、甘い音色の団体だなと思う。
ところが、次のリゲティの弦楽四重奏曲第1番で印象が一変する。荒々しく激しい部分は、ボロディンの時とは全く違う、力強い演奏。聴いているだけで興奮してしまう。荒々しい後は静寂な曲想が現れるが、その静寂は緊張感が漲り、動と静のバランスが絶妙であったと思う。また終盤の少々不気味な雰囲気も良く出ていた。この曲は初めて知ったが、個人的にとても好みの曲であった。
最後はシューマンのピアノ五重奏曲。ピアノが入ったことで、また表情が一変。非常に華やかな雰囲気となった。弦のメンバーも、ピアノが入ったことでテンションが高くなり、音楽にノッているように感じた。観る側も高揚した気分を感じ、楽しくなる。シューマンらしい華やかさが表現されていたと思う。全2曲を聴いた段階では、弦4人で絶妙なアンサンブルになっていたので、ピアノが入ることでどのように変化するのか興味深かったが、弦4人に溶け込んでいて、全く違和感がなかった。ただ、もう少しピアノが際立っていても良かったのかな、とも思った(好みだと思う)。
アンコールにドヴォルザークのピアノ五重奏曲の3楽章。楽しい曲で、踊りたくなるような気分に。演奏会を締めくくるに相応しく、こちらもステキだった。
アンコールを含めた4曲を聞いて1番印象的だったのは、曲により、表現・色がガラリと変わったことだ。各曲の雰囲気が出ていたと思う。この点が、演奏会を素晴らしいものにしていたと思う。
なお、帰りはもんじゃ街に立ち寄り、同行したメンバーと演奏会の感想を語り合うことができ、1日を満喫できたのであった。
公演に関する情報
SQW#96 クァルテット・ウィークエンド2010-2011“Galleria”
クァルテット・エクセルシオ 《Quartet+(プラス)》
日時:1月29日(土)14:00開演
出演:【クァルテット・エクセルシオ】
西野ゆか/山田百子(ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)
共演:小山実稚恵(ピアノ)