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トリトン・アーツ・ネットワーク

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アーティスト・インタビュー

宮田 大(チェロ)

宮田 大 Dai-versity 第3回 舞踏と伝統

 宮田大さんの『Dai-versity』は、チェロ奏者として国内国外で大活躍中の宮田さんが、普通のチェロ・リサイタルでは体験できない、さまざまな音楽をさまざまな共演者と第一生命ホールで演奏する、年1回のシリーズです。
 第3回のテーマは、「舞踏と伝統」。バレエダンサー、琉球舞踊、津軽三味線とのデュオ、ピアノやパーカッションなど、和洋の多彩な出演者が、宮田さんのチェロと共演します。
[聞き手/文:山崎浩太郎(音楽ジャーナリスト)]

今回はさまざまなジャンルの、たくさんのアーティストとの共演ですね。

20250329Horiuchi_Miyagi.jpg宮田:西洋のバレエ、さらに琉球舞踊や津軽三味線など日本の伝統的なものを、いつもとは違ったアプローチで、チェロで共演しながら皆さんにご紹介したいと思います。


西洋のバレエと日本の琉球舞踊、西と東でまるで違った踊りとの共演を、1回のコンサートで楽しめるわけですね。

宮田:クラシック音楽を演奏していると、踊りと音楽のあいだに、密接なつながりを感じるんです。そこで今回は二人の踊り手をお招きしました。
 バレエダンサーの堀内將平さんとは、自分が奏でる音と堀内さんの身体の動きが、会話するように舞台の上で影響を与えあっていくと思います。
 また、宮城茂雄さんの琉球舞踊の優雅な、ゆったりとした動きの美しさもご覧いただきます。琉球舞踊に、哀愁ただようピアソラのタンゴを組み合わせた、新たな体験もしていただこうと考えています。


さらに今回は、宮田さんとは各所で共演を重ねられている津軽三味線の上妻宏光さんも登場されるのですね。

20250329Agatsuma.jpg宮田:チェロと津軽三味線は、ほんとうに相性がいいんです。さらに打楽器の関聡さん、ピアノの西尾真実さんとのコラボレーションも楽しみです。


ダイバーシティとは、多様性のこと。まさに多様性に富んだコンサートになりそうですね。

宮田:第一生命ホールでなければ実現できない企画だと思っています。このホールはキャパシティがちょうどいい大きさで、音響もよいというだけでなく、新しいものを発信する場所としての役割をもてる。どんなアイディアを出しても怒られないと思えるんです(笑)。アイディアをどんどん出して、挑戦できる。ダイバーシティ、多様性ということで、可能性をつぶすことなく、いろいろなことに挑戦していく。これまでの2回でも、いろいろな音楽を体験できました。


『Dai-versity』は、2022年の第1回が文楽人形遣いの桐竹勘十郎さん、箏のLEOさんと共演した「文楽」、2024年の第2回が作曲家・ピアニストの山中惇史さんを招いて坂本龍一やジョン・ウィリアムズの映画音楽をとりあげた「映画音楽と作曲家たち」と続いてきました。2回行なわれて、お客さまの反応はいかがでしたか。

20250329Seki.jpg宮田:1回だけの公演ではもったいないといってくださる方が多かったんです。でも、これは1回かぎりだからいいと思うんです。
 第一生命ホールでは、ピアノの小山実稚恵さんのシリーズ(小山実稚恵の室内楽・新章)でピアノ・トリオにも出演させていただいて、そこでは、自分の「ザ・クラシック」のチェロ奏者の一面をお見せしています。『Dai-versity』のほうは、チェロ奏者としての、いろいろな自分の顔を見ていただける機会と思っています。まさにそれは、チェロという楽器そのものが持っている多様性です。


チェロという楽器の多様性、とても面白い視点と思います。そのようなお考えを、どうして持たれたのですか?

20240329Nishio.jpeg宮田:私はヨーヨー・マが昔から大好きなんです。両親に聴かせてもらったCDで、いちばんよく聴いたチェロ奏者がヨーヨー・マでした。彼にしかできない音楽、彼だけの世界と空気感があって、憧れの存在なんです。いろいろなジャンルの音楽家とコラボレーションしたり、新しい作品に取り組んだりして、ヨーヨー・マはチェロの幅を広げてくれた。その姿を見てきたのは大きいですね。
 彼のピアソラのタンゴの演奏も大好きで、私がピアソラのアルバムをリリースさせていただいたのも、きっかけはヨーヨー・マなんです。


なるほど。宮田さんがさまざまなジャンルの音楽家やアーティストとコラボレーションされる原点が、ヨーヨー・マなのですね。

宮田:それと、チェロはどうしても、ピアノやヴァイオリンに比べるとどうしても曲が少ないことがあるので、オーケストラのための組曲やバレエ音楽、そうしたものをチェロとピアノで取り上げていくことも、これからやっていきたいことの一つですね。


ありがとうございます。今回の『Dai-versity』の選曲にも、今のお考えがあらわれていると感じます。では、おしまいに第3回に向けて、お客さまへのメッセージをお願いします。

宮田:今回のテーマは「舞踊と伝統」です。音楽を聴くことと身体で感じること、この二つを組み合わせて、音楽の新しい聴きかたができるコンサートになると思っています。ぜひこの舞台を見に来ていただいて、耳だけでなく五感すべてを通して、さまざまな感覚を味わっていだければと思います。20250329MiyataDai_interview.jpg