シリーズでお届けしている4歳からの「子どもといっしょにクラシック」。9月の公演は第一生命ホールと縁深い「日本音楽集団(和楽器オーケストラ)」による「音楽と絵本」コンサート。作曲家であり、今回のコンサートの構成をされている福嶋頼秀さんに和楽器によるコンサートの魅力を伺いました。
"お子さんといっしょに和楽器や名作の魅力を再発見"
日本音楽集団による「音楽と絵本」コンサートは3回目ですね。親子で楽しめる和楽器合奏のコンサートは珍しいかと思いますが、子どもたちがよく知っている曲や一つ一つの楽器の紹介があったり、音楽と絵本では人気の絵本を取り上げたり、でも和楽器ならではの曲も聴いてもらうなど、毎回様々な工夫をされている人気の公演ですので今回もとても楽しみです。
福嶋:今回も、和楽器の音色をシンプルに楽しんでいただける曲はもちろん、ミニ・ミュージカルや「音楽と絵本」では演奏とお話、歌が一緒になった舞台を楽しんでいただきたいと思いプログラムを考えました。また、動物と人間の交流を通して『自然との共生』についても子どもたちが何か感じてくれたらうれしいなと思っています。ミニ・ミュージカル「タヌキの親子とトウモロコシ畑」は実話を元にしたお話で、タヌキに作物を食べられてしまって困っていた農家の方が、トウモロコシの仕分け作業でおもしろい工夫をしたところ・・・というストーリーで、出演の池羽由さん、中畑有美子さん、宮原健一郎さんが、子ダヌキと母ダヌキ、農家を演じます。タヌキが出てくるシーンでは「ポンッ」と鼓(つづみ)が鳴ったり、和楽器の音色がこのお話を彩ってくれます。
お話と和楽器の音色がとっても合っているな~といつも思います。過去2回の公演で取り上げた絵本『パンダ銭湯』(作:tupera tupera、絵本館 刊)でも、和楽器の音色が効果的でお話の世界にどんどん惹き込まれる感じでした。(2020年度の公演は「アートにエールを!東京プロジェクト」に採択され、Youtubeで動画を閲覧することができます。インタビューページ下部参照)。今回の音楽と絵本「ごんぎつね」は小学校の教科書に掲載されている日本の児童文学の名作ですね。いたずらきつね「ごん」と村人「兵十」の物語には子どもながらになんともいえない気持ちになったことを思い出します。
福嶋:「ごんぎつね」は日本音楽集団のレパートリーとして以前から公演していますが、いもとようこさんの絵本を投影しての公演は今回が初めてです。お話はシリアスでもありますが、スクリーンに大きく映されるいもとようこさんの可愛らしく心温まる絵と共にお楽しみください。
"たくさんの和楽器が登場!"
コンサートでは、笛、尺八、三味線、琵琶、箏、太鼓、篳篥(ひちりき)、笙(しょう)などが登場するそうですね。和楽器と一言で言っても、一度に音を聴いたり見る機会は少ないのではないでしょうか。
福嶋:和楽器はそれぞれの楽器の音色や演奏方法がまったく異なりますので、楽器紹介コーナーでは一つ一つの楽器にぜひ注目してください。今回、相澤洋正さんに7つの和楽器のための曲を作曲してもらいました。7つの楽器なので「七色の夢」という曲名です。個性溢れる楽器が一緒に演奏するとどんな音になるのかもお楽しみに!
プログラムの中に、アニメ「ドラえもん」の曲もありますがこちらも和楽器で!?
福嶋:現代の曲も和楽器で演奏をすることができます。未来を担う子どもたちが和楽器に興味を持って、演奏もしてみたいと思ってくれたら嬉しいなと思っています。
日本の歴史の中で育まれてきた和楽器。日本ならではの音色の繊細さや、音のゆらぎ、「間(ま)」など、普段の生活では感じる機会の少ない感覚をコンサートホールでぜひ体感してください。
(聞き手:トリトン・アーツ・ネットワーク)
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【過去の公演動画 公開中!!】
前回2020年度の公演は、東京都の文化助成事業「アートにエールを!」に採択され、公演のダイジェスト版をYouTubeで公開しています。
和楽器で「音楽と絵本」コンサートは、いったいどんなコンサートでしょうか?ぜひご視聴ください。