音楽の豊かな時間を‥‥〈雄大と行く 昼の音楽さんぽ〉第19回は、人気ピアニスト・福間洸太朗さんをお迎えして《ワルツとノクターンの調べ》をお届けします。優美な3拍子の舞曲・ワルツと、鍵盤に夢想ひろがるノクターン(夜想曲)──それぞれピアノという楽器の華麗さ、艶やかさ、そして陰翳など、とても豊かな情感をお楽しみいただきます。
音楽の豊かな時間を‥‥〈雄大と行く 昼の音楽さんぽ〉第19回は、人気ピアニスト・福間洸太朗さんをお迎えして《ワルツとノクターンの調べ》をお届けします。優美な3拍子の舞曲・ワルツと、鍵盤に夢想ひろがるノクターン(夜想曲)──それぞれピアノという楽器の華麗さ、艶やかさ、そして陰翳など、とても豊かな情感をお楽しみいただきます。
福間さんは意外にも第一生命ホールでの演奏は初めて。恩師ブルーノ・リグットのピアノをこの客席で聴いた経験を思い出しつつご出演も楽しみにされていますが、そのリグット先生に「パリでたくさん教えていただいた」というショパンの作品から、映画などにも使われて有名な〈ノクターン第20番嬰ハ短調〉と〈ワルツ第14番ホ短調〉を披露されます。「リグット先生の歌いかたがとても好きで‥‥言葉にするのは難しいんですが。翳りや痛み、苦みなどネガティブな音から、次に移ったときに幸福感や安堵感が生まれるところをどう意識するかがポイント。特にノクターンなど、一音バランスが崩れるだけでフレーズが台無しになったりするので、凄く繊細ですよね」
スクリャービンとチャイコフスキー、ふたりのロシア人作曲家のワルツとノクターンも美しい個性の響く傑作ですし、後半のフランス人作曲家たちの音宇宙も福間さんの知的で詩情溢れるピアノが魅せてくれるはず。サティ作曲《ジュ・トゥ・ヴ》の福間さん自身によるピアノ独奏用編曲は「自分なりのアイディアで変奏曲風の編曲を作ってみたものです。私はサティの家を訪れたことがあって、外見は普通なのに入ってみると遊園地みたいな面白い家(笑)。メリーゴーランド風の椅子や、羽の生えた梨が宙に吊されているサティ・ワールドに衝撃を受けて、そこから編曲のいろいろな発想が生まれたんです。弾いていても聴いていても愉しめる編曲だと思います」
(ご参考まで:サティの生家が博物館になっているLa maison Satieの写真をトリップアドバイザーでご覧いただけます リンクはこちら)
最後はラヴェル作曲の《ラ・ヴァルス》(フランス語で「ワルツ」)。オーケストラや2台ピアノの曲として有名な作品ですが、これも福間さんご自身のピアノ独奏用編曲で。「アイスショーのために(フィギュアスケートの世界王者)ステファン・ランビエルさんから『《ラ・ヴァルス》で君と共演したい』というオファーをいただいたのがきっかけ」というから凄い話。
これまでも何人かのピアニストが独奏用の編曲を作っていますが、「弾きにくかったりもの足りなかったり‥‥私自身が多く弾いて来た2台ピアノ用の編曲に近づけたいという思いで、オーケストラの楽譜も参照しながら、厚みや内声など音を増やして編曲しました。アイスショーは持ち時間が4分なのでかなりカットしたのですが、評判も良かったので全曲も演ってみようかと」
豊かな陰翳や激しい昂揚、鮮烈な色彩もたっぷり堪能できるはず。──選曲にも工夫がこらされて作曲家同士のつながりも見えてくる、美しい星座をみるようなプログラムをお楽しみください!
[聞き手・文/山野雄大(音楽ライター)]
●ヨーロッパを拠点に活躍、世界が注目する国際派ピアニスト!
フランス、ドイツでの留学を経て、いまはベルリンを拠点に活躍中の福間さん。クリーヴランド国際コンクールで優勝(日本人初!)して以来、世界各国で活躍する人気ピアニストです。
●フィギュアスケートの羽生結弦選手など一流スケーターと共演!
アイスショーで、羽生結弦選手とショパンのバラード1番で共演。羽生選手の他にもステファン・ランビエルさんをはじめ、安藤美姫さんや、鈴木明子さん、織田信成さんとコラボレーションをされています。
●恩田陸さんのベストセラー小説『蜜蜂と遠雷』の映画で、ピアノ演奏担当!
福間さんは、松坂桃李さん演じる高島明石のピアノ演奏を担当。劇場公開は今年10月です!