《雄大と行く 昼の音楽さんぽ》第10回には斬れ味も抜群の若き天才サクソフォン奏者、上野耕平さんをお迎えします。スピード感に艶も満ちた音色の魅力、磨き抜かれた歌の美しさ…。人気の作品から最新作まで、楽器の魅力も全開に色とりどりの興奮を味わえるプログラムをご用意いただきました。
「バッハ〈G線上のアリア〉以外は再構築した編曲なんです。ムソルグスキー〈モスクワ川の夜明け〉では原曲にないメロディも入ってきますし、和声感もかなりモダン。リムスキー=コルサコフ〈熊蜂の飛行〉はもう別の作品と捉えられるくらい」という変貌もお楽しみにしていただき...共演する山中惇史さんが編曲したビゼー〈カルメン・ファンタジー forサクソフォン〉は人気オペラを素材にサクソフォンの持つ機動力と溢れる色気を全開にした傑作。「〈カルメン〉は高校の通学時にオペラ全幕をよく聴いていました。編曲をお願いした山中さんも〈カルメン〉が大好きだそうで、相談しているうちに『これも良くない?』って入れたい曲がどんどん増えていって(笑)」ふたりの思い入れがぎゅっと詰まったファンタジー(幻想曲)、ステージでの美しく冴えた炸裂をお楽しみに。
そして、奇抜な着想と強烈な吸引力をもった音世界が人気の若手作曲家・坂東祐大さんが上野さんのために書いた〈エアリアル・ダンス〉改訂版が初演されます。「サクソフォン1本で吹いているとはとても思えない、音楽的にも凄く充実した名曲です。あらゆる特殊奏法が盛り込まれていて、管楽器の曲なのに息を吸う場所がない(笑)」という凄まじい挑戦、この興奮はぜひ生演奏で体感していただきたいもの。お楽しみに!
[ 聞き手・文/山野雄大(音楽ライター)]