今回の絵本は、広く愛され続ける名作『スーホの白い馬』を。絵本の投影に合わせて、ピアニストの田村緑さんと素晴らしい音楽家仲間のみなさんが、北欧ノルウェーの作曲家グリーグの代表作〈ピアノ協奏曲〉を演奏します。
田村:曲の冒頭から物語の世界へ連れ込まれるようで、弾くたびにぞくぞくするんですよ。泣きの入ったメロディが物語の情景を思い起こさせますし、絵本にぴったり来るだけでなく、物語に沿う以上の力を持った音楽です。
朗読は市橋邦彦さん。コンサート企画や指揮、お話、合唱指導など多岐にわたって活躍されていますが、桐朋学園小学校の音楽専任教諭を長年務められ、幼い頃の田村さんの恩師でもあります。
田村:先生の授業は自分の音楽の原点にもなったような素晴らしい体験でした。このシリーズで『スーホの白い馬』を取り上げると決まった時から、もう市橋先生の朗読しか想像できませんでした。意図をわかってくださった上でご自分の朗読を完璧にやってくださるので、私も自由に演らせていただいて!
市橋:この絵本はみなさんそれぞれイメージをお持ちの作品だと思うんですが、もう涙が出ちゃいますからねぇ...。
田村:初めてのお子さんから絵本をご存知の方まで、3世代くらいいっしょに楽しんでいただける作品です。先生の朗読される"とのさま"役の場面も、再演されるたびに迫力を増してすごいことに(笑)。
市橋:音楽に負けたくない、という気になっちゃうんですよねぇ(笑)。
師弟の呼吸もぴったり合った流れからこそ生まれる感銘、ご期待ください。
[聞き手・文:山野雄大(音楽ライター)]