プログラムは、ブラームスが1886年にスイスのトゥーン湖畔で書いた室内楽を中心としたもの。トリオ・ヴァンダラーのピアニスト、ヴァンサン・コックからのメッセージをご紹介しましょう。
「私たちは、ある年スイスのトゥーン湖畔の小さな村、シュピーツでのコンサートに招かれました。ブラームスはトゥーン湖で休日を過ごした時、いくつかの作品を書きましたので、それを演奏することにしました。チェロ・ソナタ第2番ヘ長調 Op.99、ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 Op.100、ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 Op.101です。
ブラームスは穏やかさが支配する場所が好きでしたが、この湖畔で『孤独』という彼の音楽のメインテーマともいうべきものと向き合っていたのです。我々はまさにその場所でブラームスが感じたことを再現することを試み、大変な好評を得るとともにブラームスの音楽を深めることができたと確信しています。」
第一生命ホールでは、このトゥーン湖で書かれたチェロ・ソナタ第2番とピアノ三重奏曲第3番の他、ピアノ三重奏曲第1番も演奏します。どうぞ、130年前のトゥーン湖畔でのブラームスに想いを馳せながらお楽しみください。
CD紹介ブラームスは1854年にピアノ三重奏曲第1番を書きましたが、今日一般的に演奏されるのは1889年に作曲家自身により改訂された版です。トリオ・ヴァンダラーが以前ブラームスのピアノ三重奏曲全3曲CDを録音した際も改訂版での演奏でしたが、今年1月新しく1854年に書かれたオリジナル版の録音をリリースしました。英グラモフォン誌(2016年3月号)でも「ブラームスらしい雄大さがよく出ており、近年の他のオリジナル版と違い、非常に説得力があるできばえ」と称賛されています。
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トゥーンで散歩する詩人クラウス・グロートとブラームス。グロートの詩による歌曲「雨の歌」の主題は、ヴァイオリン・ソナタ第1番の第3楽章にも使用されました。