ソリストとして大活躍のおふたり、デュオとしても共演を重ねてこれまた人気。今回はスペインをテーマにした選曲でバラエティ豊かに。1台でも「小さなオーケストラ」と呼ばれるほど豊かな表現ができるギター、2台になれば無敵。
大萩:同じフレーズを、一度目と二度目で違う奏者が弾くだけで表情が全然違いますしね。本番では何が起こるか分からない(笑)。
鈴木:ホールでお客様を前に弾いていると、演奏に対するレスポンスも違いますから。デュオの相手がそれに乗せられていればこちらも乗っていくし...。
大萩:それがソロと違うデュオの面白さ。大介さんは、盛り上がるところで一緒にがーっ!と行ってくれながら「お前ちょっと待て」と音楽で言ってくれることもある兄貴分。常に学びながら、僕も「これはどうですかっ!」って出していく(笑)。
鈴木:時には僕の方が「あっ無理無理っ...先行って!」ってお任せしたり頼りにしてます(笑)。彼はアイディアやイマジネーションをとてもたくさん持っている。探究心が強くて僕も刺激を受けます。
大萩:お互いが何を考えているか、音楽だけでなく人同士としてコミュニケーションしていく中で知ることが大事。いっしょに飲み食いすることでも培われていきますね。
今回おふたりが弾く素晴らしく繊細な銘器にもご注目を。
鈴木:大萩君が弾く1962年製ブーシェは、和音の純粋な響きや音の粒立ちがもう最高。
大萩:コントロールするのがとても大変なんですけどね(笑)。
鈴木:僕の弾く1964年製フレタは、擦弦楽器的な不思議な倍音をもった楽器でいいんですよ。今好まれるギターの音は、ワインでいうと「呑んでるぜ!」とはっきりわかるタイプのものかも知れませんが、今回僕らが弾くのはブルゴーニュ・ワインのヴィンテージもののような響きを持った楽器です。良い楽器の実力をピンポイントで発揮させてくれる良いホールで、そこもたっぷり味わっていただきたいですね。
大萩:とても美味しいコンサートになると思います!
[聞き手/文 山野雄大(音楽ライター)]