「音楽と絵本」コンサートは、スクリーンに投影した絵本に朗読と生演奏がついて盛り上がる舞台で大人気。今回は秋山あゆ子『くものすおやぶんとりものちょう』(福音館書店)です。お菓子屋さんへ押し入る盗賊をくものす親分が退治する捕物帖...という楽しい絵本。2009年の初演でも活躍したクァルテット・エクセルシオ(弦楽四重奏)、古部賢一(オーボエ)、小坂圭太(ピアノ)、飯原道代(朗読)のみなさんが世界を広げます。
吉田有紀子(ヴィオラ)「自分でも絵コンテを描いて、時間を計りながら選曲を考えました(笑)」
大友肇(チェロ)「チャイコフスキーなどロシア音楽が多くなりましたね」
山田百子(ヴァイオリン)「リズムが面白く変化もある曲ばかりで、盗賊を追いかけるシーンにも良く合います(笑)」
さまざまな曲をうまく繋げて編曲したのは作曲家の新垣隆さん。これが江戸っぽい絵本にぴったり合うから不思議ですが...前半ではコンサートも。モーツァルト〈オーボエ四重奏曲〉からは、
山田「弦楽三重奏の温かい音色にオーボエの豊かな色彩が重なると、すごくおもしろいアンサンブルになるんですよ」
ドヴォルザークのピアノ五重奏曲からも。
小坂圭太(ピアノ)「弦楽四重奏と一対一でデュオをするような感覚がありますね。四重奏が4人でひとつのパーソナリティとなっている部分と、一人一人がどのように四重奏の人格と結びついているかを意識しながら...」
大友「ピアノと合わせるのは苦労するのですが、小坂さんとは本当に自由に演奏できるんです」
山田「ピアニストなのに微妙な音程を合わせてくるんですよ!(笑)」
吉田「小坂さんが練習で、こっちのほうがいいですか? と2種類聴かせてくださる時、ホントに違うんで、あーっ! みたいな(笑)」
アンサンブル曲のほか、ピアノ独奏曲、そして古部賢一さんのオーボエ独奏も超人的な弱音から豊かな色彩までお楽しみいただき...古典から絵本の想像力まで自在に駆け抜ける音楽の喜び、ぜひごいっしょに。
[聞き手/文 山野雄大(音楽ライター)]