「これまでの演奏生活の中で共に演奏してきた信頼できる仲間たちに声をかけました。弦楽器奏者だけでなく、管楽器奏者にも加わってもらえることになり、様々な編成の作品を演奏することができるようになると思います」
と矢部は語る。第1回目の演奏会は6月20日の土曜日、午後。演奏曲目はすべてモーツァルトの作品だ。
「目の前に楽譜があって、それを演奏すれば音楽になるかというと、実はそうではないのです。演奏に参加するみんなでリハーサルを行う中で、モーツァルトの音楽の中に含まれている様々な魅力を発見して、それを表現していかなければならない。それは時間のかかる作業なのですが、このメンバーならば積極的にその音楽作りに参加してくれると思います」
モーツァルトの代表作と言える「ディヴェルティメント ニ長調K.136」や「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、交響曲第29番、第40番などが演奏曲目に並ぶ。なぜモーツァルトなのかと言えば、第一生命保険株式会社がザルツブルクにあるモーツァルトの住んだ家「舞踏教師の家」の復元事業に参加したという経緯があるから。
「ちょっと贅沢なくらい、モーツァルトの名曲を選んでみました。傑作ばかりで、どの作品にもモーツァルトの才能が溢れていると思います。リハーサルも本当に大変になりそうですが、楽しみでもあります。オーケストラのメンバーといっしょに音楽を作る、それをみなさんに聴いていただくという形で、新しいコミュニケーションを作り上げることができたらうれしいです」
期待のコンサートまで、もう少しお待ちあれ。
[聞き手/文 片桐卓也(音楽ライター)]