どうやってストーリーを思いつき、脚本を書かれるのですか?
牧野:まず出演者たちのレパートリーから中心になる曲を決めて、役柄の名前を考えてから、あらすじを作ります。オペラ《ランスへの旅》の舞台はジーリオ・ドーロ(金の百合)ホテル、オペラ《愛の妙薬》は安酒を惚れ薬と偽る話。こうしたキーワードをコンセプトに、ブロンズ・リリー(銅の百合)ホテルを物語の舞台とし、恋のカクテルを作る話へとつなげていきました。
登場人物のキャラクターも設定してあるのですね。
牧野:今回は強引な見合い話から逃げてきたお嬢様、仕事と人生に疲れたグルメ・ライター、新たなカクテル作りに没頭しているまじめ人間、それから天真爛漫な好青年が出てきます(笑)。この4人にブロンズ・リリーのピアニストが絡み、恋模様、人間模様を繰り広げていくのを楽しんでください。様々な時代に生まれたオペラの名曲を聴いていただけるのも魅力です。プログラムに予定されているオペラのあらすじをかんたんに予習してきていただければ、その役柄が、どの作品にルーツがあるのかすんなり理解できるのでは。歌手たちは、タキシード、避暑地の装い、ガーデニング係の制服など、役柄とシチュエーションに合わせて衣装を次々と着替えていくので、目にも楽しい舞台になること、間違いありません。
[取材/文 石田麻子]
こんなお話 - 避暑地で乾杯! 恋のカクテル避暑地の小さなホテル「ブロンズ・リリー」。都会での生活に疲れた一人旅の客、安土恵那(あづちえな)が寛ぎを満喫しているところに、掘美留子(ほりみるこ)が「大切なものをなくした」と入ってきて大騒ぎに。鳥井銅太郎(とりいどうたろう)はそんな美留子に一目惚れするが、ホテル支配人・蒲原徹(かまはらとおる)は「今は恋にうつつを抜かしている時ではない」と銅太郎をさとす。一流バーテンダー「トオル蒲原」として心と身体を癒すカクテルの研究に没頭したい彼は、銅太郎にホテル経営を任せたいのだった。バーで繰り広げられる様々な人生模様...その行方はいかに?!