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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

日本音楽集団

第210回日本音楽集団定期演奏会

日本音楽集団が11月に第一生命ホールで定期演奏会を行います。タイトルは「子どもたちへのメッセージ」。小・中学生など若い世代の方々にも邦楽器の魅力を伝えたいという選曲です。ご家族で、世界に誇る日本の伝統的な楽器の良さを改めて感じてみませんか?

第210回日本音楽集団定期演奏会
「子どもたちへのメッセージ」

 子どもたちに「箏(こと)や三味線、尺八って知ってる?」と問うと、時々「ああ、昔の楽器ね」という返事が返ってくることがあります。残念ながら、日本の楽器に対する子どもたちのイメージは、少なからず「旧来の音楽を演奏するためのもの」という認識になってしまっています。
 
 このようなイメージを払拭するべく、日本音楽集団では、創立からおよそ50年に渡って、和楽器のオーケストラによって、現代に息づく音楽を目的に活動を続けてきました。
 
 特に、今回のコンサートは、「子どもたち」に、和楽器の紹介、および和楽器の演奏に参加したいと思ってもらえる作品をご紹介するものです。伝統的な日本の楽器を、『世界にも自慢できる(現在の)楽器』として、子どもたちに印象付けることは、日本の文化をより理解することと、その発展につながるものです。


 今年で生誕100年を迎える、新美南吉の代表作「ごんぎつね」は、現在も小学4年生の教科書に掲載されています。1曲目の「ごんぎつね」(川崎絵都夫作曲)は、この教科書のテキストに合わせて、和楽器の演奏と合唱を加え、物語の世界を一層盛り上げています。この作品は、2011年度の文化庁「子どものための優れた舞台芸術体験事業」のワークショップ作品として採用され、多数の小学生が朗読と合唱にてこの作品の演奏に参加しました。

 「日本の音たち」(伝統楽器紹介のための)は、オーケストラを構成する和楽器:箏・尺八・琵琶・三味線・太鼓などについて、1964年の当団の代表作「子供のための組曲」(長沢勝俊作曲)の中で、各楽器の活躍する部分を実演し、楽器の構造と音色を分かりやすく紹介していきます。

20131130_promusicanipponia210_top2.jpg 「ひかりのうたげ」(信長貴富作曲)では、NHK東京児童合唱団の総勢70名の子どもたちが演奏に加わります。2005年に同合唱団によって初演された作品です。広島と長崎の「蛍」にまつわる童歌を引用し、蛍に死者の霊が宿るという考え方から、戦争の記憶を消すまいとする作曲者のメッセージが込められています。

 「ヤマトタケル」組曲(長沢勝俊作曲)は、1986年2月に東京・新橋演舞場で初演された、三代目市川猿之助(現・二代目市川猿翁)のスーパー歌舞伎の第一作『ヤマトタケル』の音楽として作曲されたものです。この『ヤマトタケル』は、伝統歌舞伎の美意識・発想・演出法・演技術を駆使しつつ、それを昇華させた新しい歌舞伎への挑戦でしたが、その音楽もまた、同作品の持つ先進性・前衛性が十分に反映されています。また、この作品は平成24年新橋演舞場の七月大歌舞伎(市川猿之助・中車襲名披露)など、度々再演されています。すでに歌舞伎をご覧いただいている方にはその迫力が鮮やかによみがえり、また初めての方も、きっと足を運んでみたいと思っていただけることでしょう。

 今回の新曲「八声のコンチェルティーノ」(福嶋頼秀作曲)では、『前口上』に続く8つの曲の中で、8種類の和楽器が一つずつ活躍します。各曲には『笛の章~又三郎~』のように、小説の主人公や歴史上の人物の名前が副題についています。「又三郎」はもちろん宮沢賢治の小説『風の又三郎』の主人公。ここでは風のイメージと笛のフレーズを重ね合わせています。さて、他の楽器はどのようなキャラクターを表現するのか?・・・ぜひ想像しながら、お聴き下さい。

[日本音楽集団]