ボッケリーニといえば、いわゆる「ボッケリーニのメヌエット」だけが突出して有名で、他の作品はあ
まり知られていませんが、実は膨大な数の弦楽四重奏曲を作曲しています。当時は大変な人気だっ
たというボッケリーニの知られざる魅力に、古典四重奏団が迫ります。チェロの田崎瑞博氏に聴きど
ころをうかがいました。
ボッケリーニの作品ばかりを集めたプログラムを演奏していただきます。
田崎:ボッケリーニの弦楽四重奏曲は、同時代のハイドンやモーツァルトとも趣味が違い、しかも非常に完成度が高い。おおまかに言うと、ハイドンは遊び心もあるのですが「構築の人」、モーツァルトは完璧な美を求める「完成度の人」であるのに比べ、ボッケリーニは「飾りつけの人」だと思います。こんな飾りつけはしないだろう、というような飾りつけで、「ああ、きれいじゃない」と人に思わせる。彼の後期の作品には18世紀のものとは思えない大胆な転調があって、すごく美しい。そういうところも大きな魅力かもしれません。
田崎さんにとってボッケリーニの魅力とは?
田崎:たとえて言うなら「あまりに豊富なデザート」。だから楽しくておいしい。メインディッシュではありませんが、ひとつひとつが楽しくておいしい。別腹があったらいくらでも食べたくなる(笑)。
2月には、「ボッケリーニの世界へようこそ」と題したレクチャー・コンサートも行っていただきます。
田崎:ボッケリーニの特徴を分かりやすくご紹介するため、同時代のイタリア、スペインの作曲家の作品や、モーツァルトの作品と比較して、魅力を解き明かしていきたいと思います。ここでは、有名な「ボッケリーニのメヌエット」をテーマとしたヴァリエーションを、あたかもボッケリーニが書いたような様式で、弦楽四重奏用に作曲したものを演奏します。
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知られざるボッケリーニ(デザート!)の魅力を、ぜひレクチャーとコンサートで堪能してください。
[聞き手・文/田中玲子]