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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

アウトリーチ

4年生はじめてのクラシック
 クヮルテット・カノープス
 アウトリーチセミナー受講生によるアウトリーチ

中央区立明正小学校   
中央区立中央小学校

基本情報

日時 ①中央区立明正小学校
2025年1月27日(月)9:40~10:25/10:45~11:30/11:35~12:20
②中央区立中央小学校
2025年2月21日(金)10:45~11:30/11:35~12:20
出演 クヮルテット・カノープス(弦楽四重奏)
[富田悠介/菊地美奈(ヴァイオリン)古市沙羅(ヴィオラ)和田ゆずみ(チェロ)]
概要 対象者:4年生
人数:①79名 ②61名
 
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)│独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】
①中央区立明正小学校
♪ラヴェル:ボレロ
♪プールトン:オーラ・リー
♪ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調より第2楽章
♪ラヴェル:「マ・メール・ロワ」より第5曲「妖精の園」
♪ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調より第1楽章
アンコール曲
♪バーンスタイン:「ウェスト・サイド・ストーリー」 より 「アメリカ」

②中央区立中央小学校
♪ラヴェル:ボレロ
♪アンダーソン:シンコペイテッド・クロック
♪ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 より 第2楽章
♪ラヴェル:「マ・メール・ロワ」 より 第5曲「妖精の園」
♪ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 より 第4楽章
アンコール曲
♪バーンスタイン:「ウェスト・サイド・ストーリー」 より 「アメリカ」


【レポート】

「タン・タタタ・タン・タタタ・タン・タン…」とヴァイオリン(の顎あて)を指で叩く「ボレロ」のリズムが始まると、引き込まれるように静かになって子どもたちが音楽に集中、アウトリーチがスタートしました。リズムに乗って、「ボレロ」の旋律がヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと次々に現れて受け渡されると、「知っている曲だ」というようにうなずく子どももいて、演奏家もそれに応えるように子どもたちの顔を見ます。徐々に盛り上がって「ボレロ」が終わり、拍手が出たところで、あらためてクヮルテット・カノープスとしての自己紹介をし、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、それぞれの音を聴いてもらいました。②★P1270011.JPG次に演奏したのは、実は事前に学校の先生から子どもたちが合奏していたと伺った「オーラ・リー」の弦楽四重奏版。チェロに続いてヴィオラ、その後ヴァイオリンによる主旋律がでてくると、子どもたちや先生が顔を見合わせて「あ!」となった様子です。ヴィオラの古市さんが、「実は私たちひとりひとり性格も違うのですが、そんな4人がいっしょに演奏してひとつの音楽になるのはとてもすてきなこと」と話すと、自分たちが合奏する時のことを思い出す子どもたちもいたのか、「なるほど」という雰囲気に。

次はラヴェルの弦楽四重奏曲の第2楽章を、第2ヴァイオリンの菊地さんが「普通は弓を使って音を出しますが、違う方法で音を出します」と説明して、よく見えるように好きな場所に移動をうながすと、後ろの方の列に座っていた子どもたちも、その声かけによって演奏家の近くに来て聴いてくれていました。演奏後に「どんな方法で弾いていた?どんなことに気づいた?」と聞くと「指ではじいていた」「すごすぎる」「はげしかった」と声が上がり、弦を指ではじくピッツィカートだけでなく、トレモロなどもよく観察していたのが分かりました。

続いて、第1ヴァイオリンの富田さんが「次は僕が大好きな曲で、聴いていても、弾いていても、色々な想像ができるんです。みなさんもよかったら想像してみて」と話してから、4人でラヴェルの「マ・メール・ロワ」 より 第5曲「妖精の園」を演奏。感想を子どもたちに訊くと「豪華客船に乗ったみたい」「寝ている間の静けさ」「日の出みたい」とたくさん感じたことを教えてくれました。演奏側はというと、チェロの和田さんは「私は何かを想像したというより、鳴っている音がきれいだなと思って弾いていました」とのこと。同じ音楽を聴いても全然違う情景を想像できたり、そうかと思えば、音の美しさにただ身をゆだねることができたり、自由に楽しめるのが音楽のすてきなところです。③★P1270017.JPG最後にラヴェルの弦楽四重奏曲の第1楽章を演奏しましたが、これまでの流れを受けて集中して聴いてくれていたように感じました。

演奏後に質問コーナーを設けると次々に手があがり、他にはどんな弾き方があるのか、どうやって息をあわせているか、どれくらい練習するのか、難しいところはどこか、楽器の重さは?など、色々な質問が出て、子どもたちが興味をもって聴いてくれていたことが伺えました。「どうして音楽が好きなんですか?」という質問には「人と話すことはあまり得意じゃないけれど、楽器を通してなら伝えたいことを伝えられる」という答えもあり、若い演奏家たちが子どもたちと率直に話をしながら交流し、子どもたちと共につくったアウトリーチとなりました。

(トリトンアーツ スタッフ 明正小学校観察レポートより)

プロフィール

クヮルテット・カノープス(弦楽四重奏)  
富田悠介(ヴァイオリン)  Tomita Yusuke, violin
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て、桐朋学園大学音楽学部を卒業。現在桐朋学園大学大学院修士課程に在籍。第72回全日本学生音楽コンクール高校の部東京大会第3位。現在ヴァイオリンを辰巳明子氏に師事。室内楽を磯村和英、池田菊衛、山崎伸子、練木繁夫各氏に師事。ウェールズ・アカデミー第2期生。
菊地美奈(ヴァイオリン)  Kikuchi Mina, violin
第69回全日本学生音楽コンクール中学生の部東京大会 第3位。小澤征爾音楽塾生。ウェールズ・アカデミー第2期生。桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部を経て同大学院修士課程2年に在籍。これまでにヴァイオリンを森川ちひろ氏に師事。
現在ヴァイオリンを辰巳明子氏、室内楽を惠藤久美子、磯村和英、山崎伸子各氏に師事。
古市沙羅(ヴィオラ)  Furuichi Sara, viola
桐朋学園大学卒業。紀尾井ホール室内管弦楽団2024年度シーズンメンバー。クロンベルクアカデミーフェスティバル、東京・春・音楽祭、イタリア・オペラ・アカデミーin東京、ヴィオラスペースなどに出演。タベア・ツィンマーマン、アントワン・タメスティ、ヴァルター・キュスナー各氏のマスタークラスを受講。サントリーホール室内楽アカデミー第6・7期フェロー、第2期ウェールズ・アカデミー受講。これまでに磯村和英、安藤裕子、村上淳一郎の各氏に師事。
和田ゆずみ(チェロ)   Wada Yuzumi, cello
桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学卒業。学内成績優秀者による桐朋学園室内楽演奏会および長野県新人演奏会に出演。東京・春・音楽祭に参加。ウェン=シン・ヤン氏のマスタークラスを受講。これまでに寺島都志子、渡部玄一、門脇大樹、菊地知也の各氏に師事。室内楽を磯村和英、菊地知也、山崎伸子の各氏に師事。ウェールズ・アカデミー第2期生。