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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2023年1月30日(月)
9:35~10:20/10:40~11:25/11:30~12:15/13:20~14:05

出演 中川賢一(ピアノ)
概要 対象者:4年生  
人数:137名

助成等:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】
♪ムソルグスキー:「展覧会の絵」より プロムナード
♪ドビュッシー:アラベスク第1番
♪ドビュッシー:月の光
~ピアノ紹介コーナー~
♪ムソルグスキー:「展覧会の絵」より キエフの大門


【レポート】

音楽室で児童と対峙したピアニスト、中川賢一さんはとてもエネルギッシュ。大きな声、早い口調で挑むように話しかけますが、それが子ども達の心を掴み、ピアノという楽器に向かわせました。

最初の曲はムソルグスキー作曲、組曲「展覧会の絵」から「プロムナード」。これから友人の展覧会を見に行こうとワクワクした気持ちが曲になっているのかなと思うので、最初に演奏しましたとお話。

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次はドビュッシー作曲「アラベスク第1番」。どこでも好きな場所で聴いていいよとの声掛けで、子ども達はワァーッとピアノの周囲に集まり、鍵盤を覗き込んだり、ピアノの下に潜り込んで聴いている姿が印象的でした。

そしてドビュッシーの「月の光」では、部屋の黒カーテンを閉め夜を演出。目を瞑ったり、寝て聴いてもいいよ!という中川さんの言葉に、子ども達は一斉に反応。下を向いて目を瞑ったり、床に仰向けに寝転がったり、これ以上はないリラックスした姿勢で聴き入っていました。こんなクラシック鑑賞方法もあるのかとビックリでした。

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ピアノの構造の紹介コーナーでは、まずアクションモデルを使って説明。その後中川さんが全身を使ってピアノを弾き続ける中、ピアノの弦の上に載せたピンポン玉がポップコーンのように飛び跳ねるのを見て、弦の振動を感じたり、オルゴールを響板の上に置いた時には音がとても良く鳴ることなど、実際に自分の眼で見、肌で感じることで、子ども達のピアノへの興味がさらに深まったと思いました。

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最後は再び「展覧会の絵」より「キエフの大門」。 中川さんは、150年前の外国の曲を今こうして日本人が日本人の前で弾いている事に感慨を覚えると話されました。

中川さんの「音楽に身を委ねて、思い思いに感じ、聴いて欲しい」という考えは、子ども達の心に入り込み、クラシックとの距離を縮めたのではないかと感じました。

トリトンアーツサポーター横内信子 観察レポートより


【子どもたちのアンケートより】

●中川賢一さんのピアノを聞くと、勝手に心がおどっていました。
●寝転がりながら聴く音楽がものすごくよかったです。理由は、目をつぶりながら聞いていると、頭の中でイメージが沸いてくるからです。
●すごくリラックスできたり、音楽が動いているような感じで、心がウキウキしました。いつか色んな楽器を弾いてみたいです。
●曲の一つ一つに思いがいっぱいつまっていることが、聞いているだけでも分かりました。曲が自分の友と感じました。
●ピアノを弾いている時の中川さんの表情もだんだん変化していって、よりその曲の作者の気持ちが良く分かった。
●鍵盤の上にある手指が踊っているかのように見えました。ハンマーが弦をたたいて音を出していました。ピアノの中の仕組みが知れてよかったと思います。
●今日の演奏は一生心に残る気がします。中川さんの心をこめた思いはとても伝わり、その思いも音に出ている気がしました。
●今回のコンサートを聞いて、ピアノが大好きになりました。

プロフィール

中川賢一(Nakagawa Kenichi)ピアノ  
桐朋学園大学音楽学部でピアノと指揮を学び、卒業後、アントワープ音楽院ピアノ科首席修了。在学中にフォルテピアノ、チェンバロも習得。1997年オランダのガウデアムス国際現代音楽コンクール第3位。帰国後はソロ、室内楽、指揮で活躍する他、国内外の様々な音楽祭に出演。NHK-FM、NHK-BSに度々出演、新曲初演多数。ダンスや他分野、朗読と音楽のコラボレーションなども展開している。ピアノ演奏とトークのアナリーゼは好評を博す。全国各地でアウトリーチ活動、ワークショップやコンサートを行う一方、地元参加型の舞台作品制作などに指揮者・編曲者として携わる。また、未就学児参加可能の演奏会、幼児向けの音楽会のプロデュースなども数多く行っている。トリトンアーツ主催では『おふろだいすき』『5ひきのすてきなねずみ おんがくかいのよる』『おまえ うまそうだな』などの絵本とのコラボレーション公演や、「第一生命ホール・オープンハウス」などに出演し好評を博す。音楽監督を務めたフィリップ・グラス「浜辺のアインシュタイン」では令和4年度第77回文化庁芸術祭大賞受賞。(一財)地域創造公共ホール音楽活性化支援事業、ソニー音楽財団の「こどものためのクラシック」各登録アーティスト。「アンサンブル・ノマド」および、5台ピアノ「ピアノ・ツィルクス」各メンバー。お茶の水女子大学、桐朋学園大学非常勤講師。http://nakagawakenichi.jp