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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2021年1月27日(水)
①10:35~11:25
②11:35~12:25
出演 田村緑(ピアノ)
概要 実施会場:中央区立泰明小学校 講堂
対象者:小学4年生
人数:58名
助成等:文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
    独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】

♪オープニング フランス民謡(木下牧子編曲):キラキラ星
♪ベートーヴェン(リスト編曲):交響曲第5番「運命」第1楽章
♪ピアノの ひ・み・つ
♪ホルスト:「木星」(組曲「惑星」第4曲)
♪エルガー体操 使用曲/エルガー:威風堂々第1番


【レポート】

 演奏者は拍手の中登場、オープニングの曲名は明かさずに、曲を聴きながら何の歌のメロディーかを子どもたちに考えてもらいました。子どもたちはどこかで聴いたことのあるメロディーに耳を澄まして、演奏者の手元を一生懸命見つめていました。オープニング曲は「きらきら星」であったと曲名を明かした後は、より詳しい曲紹介へ。クイズ形式で子どもたちと対話をしながら曲の理解を深めました。子どもたちは演奏者の呼びかけに対してうんうんと頷いており、真剣に話を聞いている様子がうかがえました。1曲目にして既に、演奏者と子どもたちは壁を作ることなく積極的にコミュニケーションをとっているように感じられました。

2曲目の「運命」は、曲を聴く前にまず、この曲の特徴について学びました。曲の特徴を子どもたちにとって身近な遊び道具で例えられたことで、曲の構造がより鮮明にイメージできたのか、子どもたちは、「運命」の第1楽章をノーカット6分半、食い入るように聴いていました。中には身を乗り出して田村さんの指先を真剣に追っている子もいました。こちらはオープニングとは逆に、じっくりと説明を受けた後に演奏を聴いたため、何も説明を聞かずに聴くよりも、曲からより多くのことを感じ取れたのではないかと思います。

IMG_7680(トリミング).jpg 「運命」を聴いた後は、ピアノ博士になるべく、ピアノに関するクイズを通して「ピアノのひみつ」を学びました。普段は見えないピアノの中の構造をアクションモデルで知った子どもたちは、皆「わー!」と反応し、模型を興味津々に見ていました。また、響板の上でオルゴールを鳴らすと音が大きくなることにも驚いていました。子どもたちは、クイズを通して皆ピアノ博士になることができました。クイズ形式にしたことで、子どもたちは積極的に発言していました。自分の頭で考えたり悩んだりしたからこそ、クイズで得た知識は今後も子どもたちの記憶にしっかり残っていくのではないでしょうか。IMG_7685(トリミング).jpg

「木星」では、ホルストの天才性に触れ、その作曲の仕組みが子供たちにもわかるようなお話がありました。演奏が始まると、子どもたちは、頭を動かしながらリズムに乗っている様子でした。子どもたちの耳なじみのある曲を演奏することで、「この曲知ってる!」と興味を惹くことができたのではないでしょうか。

  「木星」を聴いた後は、エルガーの威風堂々に合わせて「エルガー体操」をしました。音楽に合わせて楽しそうに体を動かす子どもたちからは、マスク越しでもはじけるような笑顔が伝わってくるようでした。ずっと椅子に座って受け身的に演奏を聴くだけでなく、自分たちが主体となって体を動かしたことが、子どもたちにとって楽しかったのではないかと思われます。コロナの影響で、皆で歌を歌うことは出来ませんでしたが、音楽に乗って体を動かすこともまた音楽の楽しみの一つ方であると気づかされました。

IMG_7756(小).jpg  ピアノ1台による演奏はアンサンブルとはまた違った良さがあり、とても素敵な演奏会でした。クイズを随所に取り入れたり、途中で体を動かしたり、盛沢山の内容で50分間があっという間に感じられました。泰明小学校で生まれたピアノ博士たちが、これからもピアノの良さを広めて中央区にピアノ博士をたくさん増やしてくれることを期待しています!

(インターン三好萌子 観察レポートより)

<子どもたちの感想より抜粋>

♪ 田村さんはピアノの「きょうばん」のことをまほうの板といっていたけど、田村さんのえんそうは手を自由自在にあやつっていたから田村さんはまじゅつしだと思いました。
♪ 音がとてもきれいで、たぶん一生私の頭の中に田村さんのえんそうが残ると思うくらいすてきなえんそうで、夢みたいな時間でした。
♪ とてもわくわくして、すてきな演奏をありがとうございました。ストレッチも音楽に合わせてやると、ふつうにやるより気分がよくなりました。
♪ 私が一番感どうしたのはホルストの「木星」です。「ミソラ」からあんなにも耳にのこるメロディーをひけるのは、作曲もすごいけど田村さんもすごいなと感じました。
♪ なぜか田村さんのえんそうを聴くとなみだが出そうになり、えんそうする時とってもかがやいていました。田村さんのえんそうを聴いたら、音楽は人の心をえがおにする地球にはなくてはならないものなんだと知りました。
♪ ベートーヴェンの運命がすごいかっこよくてはく力があって、この曲を聴いていると力がわいてきて元気になりました。
♪ ぼくは田村緑さんのえんそうを聴いて感どうしたのはホルストの「木星」です。理由は、どこかできいたことがあったり、目をとじて想ぞうしてみたら、本当に木星がまわっているように感じたからです。
♪ ぼくは前までピアノを習っていたのですがやめてしまいました。田村さんのえんそうをきいたら、またピアノがひきたいな~と思いました。
♪ コンサートで約60人が見ている中、ぼくはどうしてうまくひくことが出来るのか、いつも不思議に思っていました。けれど、演奏を聴いて自分に自信を持って行っていると伝わってきて、ぼくも試してみたいと思いました。はく力のある演奏やピアノのひみつを教えていただいて気持ちが晴れました。田村さんの演奏を聴きに、コンサートへ行きたいです。

プロフィール

田村緑 (ピアノ)  Tamura Midori
田村緑 プロフィール
東京都出身。桐朋女子高校音楽科卒業、英国財団の奨学金を受け渡英。英国ギルドホール音楽院ピアノ科首席卒業、ロンドン・シティ大学・大学院音楽部演奏学科修士課程修了。その後、特別研究員としてギルドホール音楽院に勤務。IC・ベートーヴェン・ピアノコンクール第1位受賞。殿堂ウィグモア・ホール・リサイタル、BBCテレビ・ラジオ出演、ヨーロッパや中近東へ演奏活動を行う。
帰国後、その躍動感に満ち、情感あふれる演奏スタイルと、在英経験を活かした独創的プログラムが注目され、全国各地でコンサート活動を行う。
音楽を楽しめる体験とするために、様々な手法を生み出すピアニストとして貴重な存在であると同時に、アウトリーチの分野では先駆者的存在。地域と共にある新しい企画の開発、地域に貢献できる演奏家の育成など、活動は多岐に渡る。
(一財)地域創造・公共ホール音楽活性化事業・協力アーティスト。
2016~2018年度 いわき芸術文化交流館アソシエイト・アーティスト。
CD「田村緑 魅惑のピアノ名曲集」「展覧会の絵」ほか。
田村緑公式サイト:https://www.tmzm.net
©︎Shigeto Imura