日時 | 2017年7月6日(木) 11:00~12:00 |
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出演 |
Buzz Five(金管五重奏) [上田じん/松山萌(トランペット) 友田雅美(ホルン) 佐々木匡史(トロンボーン) 石丸薫恵(テューバ)] |
概要 |
実施会場:中央区立有馬小学校 体育館 対象者:小学4年生3クラス 人数:合計83名 助成等:文化庁「平成29年度劇場・音楽堂等活性化事業」 |
中央区立有馬小学校において、音楽授業の一環として、金管五重奏のBuzz Fiveアウトリーチが開催されました。
4年生3クラス83名が体育館に集まり、最初に音楽の先生からお話がありました。1点目は、一生懸命聴いて一生懸命見て、何かを発見したり感じたりする1時間にして欲しいということ。2点目は、演奏会のお客さんとして聴くのではなく、音楽の授業として一生懸命聴くことで参加する姿勢であること。そして3点目は、良い演奏と感じ心に響いたら拍手を以て奏者に応えること、です。
先生のお話のあと、児童たちの「Buzz Fiveさーん!」のかけ声で、金管五重奏の5人の奏者たちが入場してきました。奏者たちが児童たちの間を、楽しそうに音楽を奏でながら進んで行きます。楽しい予感と期待で、会場の空気が高まります。
演奏しながら5人が席に到着し、トランペット上田じんさんのMCにより、アンサンブルが紹介されていきます。
「バズ・ファイブのバズ、意味が分かる人?」
「バズというのは、唇をブルブルすること。」
「金管はブルブルして音を出す楽器。」
そう言われてもよくわからない児童たちに実演します。
5人が一斉に唇だけで「ブーゥー」と鳴らします。それにマウスピースを当てて「ヴゥヴィー」と音を出します。そして最後に楽器を付けるとそれぞれの音色が出てきました。
一連の流れを、上田さんがトランペットで演奏してみせると、大いに納得した児童から歓声があがりました。
最初の演奏は、H.カーマイケル「スターダスト」と久石譲「ジブリ・メドレー」です。それぞれの楽器が合わせ持つ音色が、奏者たちの演奏によって、素晴らしい音楽になって私たちの耳元に伝わってくる演奏でした。
次に、一つずつ楽器の特色を紹介しながら演奏を行いました。
ピッコロ・トランペットによる、クラーク「デンマーク王子の行進曲 トランペット・ヴォランタリー」は、エリザベス女王の即位の際にも演奏されたそうです。松山萌さんが、とても美しい伸びのある澄んだ素晴らしい演奏で、ピッコロ・トランペットと曲の魅力をふんだんに聴かせてくれました。
フレンチホルンは友田雅美さんが解説。「なぜホルンはベルに右手を入れるのでしょうか?」と問いかけました。答えは、昔のホルンはベルの中に入れた手で音程を変えていたそうです。それが1815年ころにロータリーバルブが発明されて、今では楽器を支える目的に変わったとのことでした。さらに、ホルンの管は金管の中で一番の長さをもっています。演奏曲はロッシーニ「ラ・ダンツァ」で、ホルンのふくよかな柔らかい美しい響きを聴かせてくれました。
テューバは金管楽器では一番大きく重さも15kgあるそうです。本日の演奏のために、奏者の石丸薫恵さんは混雑の電車の中を背負って来てくれたそうです。普段はほとんど伴奏を受け持つテューバですが、今回はメロディで富山県民謡「越中おわら節」を演奏しました。ブレスを一瞬で大きくたくさん吸って、音を鳴らし続ける演奏はとても大変そうです。でも出てきた音はそんな大変さは微塵も感じられない、柔らかい音でした。とても貴重な演奏を聴くことが出来ました。
トロンボーンは佐々木匡史さんがH.フィルモア「ラッサス・トロンボーン」を演奏してくれました。トロンボーンは音程を変えるスライド管の伸縮動作が特徴的です。佐々木さんはスライドの動きに合わせて、アクロバティックにコミカルに体を使ってユーモラスな演奏で児童たちを喜ばせていました。高度な演奏技術に裏打ちされたパフォーマンスでした。
紹介楽器の最後は、MCでずっとマイクを持っていた上田さんが、ようやくトランペットに持ち替えてのロータ「ゴッドファーザー“愛のテーマ”」を演奏しました。最初の一音が出た瞬間から惹きこまれるとても素晴らしい、トランペットの美しさと魅力を十分に聴かせてくる演奏でした。
プログラム終盤では、児童たちも加わって、楽器の演奏と合わせて、4年生が音楽の授業で練習している曲「いいことありそう(佐井孝彰)」を合唱しました。児童たちと金管五重奏による、リハーサルなしでの合わせ一発の本番合奏は、児童たちのとても貴重な経験になりました。
最後は、題名当てクイズです。演奏を聴いて、イメージと曲名と結びつくのか・・・。ヤン・クーツィール「子供のサーカス」から、1.綱渡り、2.ピエロ、3.踊る熊、4.曲芸師の4曲を演奏しました。演奏中児童たちは首を傾げたり、頷いたり。結果は、半々で正解といった感じです。答えを聞いて「なるほど」と思ったり、「えぇ~!?」と感じたり、新たな発見でなかなか面白かったです。
アンコール曲の、小川聡「好きですトリトン」で、児童の手拍子と奏者の足拍子を合わせた演奏によって、すべてのプログラムを締めくくりました。
このような本格的なアンサンブルに触れ合える機会が今後さらに拡がっていき、もっと多くの児童たちが同様の体験をできたらいいなと思いました。
(サポーター 岡村忠夫)