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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

アウトリーチ
室内楽アウトリーチセミナー
室内楽アウトリーチセミナー

基本情報

日時 [1回目]2014年10月24日(金)
[2回目]2014年12月8日(月)
[3回目]2015年2月23日(月)
出演 室内楽アウトリーチセミナー 
ヴァイオリン:藤田尚子
ヴァイオリン:青嶋祥代
ヴィオラ:柳瀬省太 *講師
チェロ:大森健一
概要 実施会場:江東区立有明小学校
[1・2回目]音楽室 [3回目]ランチルーム
対象者:4年1組、2組
人数:32名、33名
助成等:平成26年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

レポート

■1回目レポート■

1回目は「弦楽器のことを知ろう」というテーマで実施をしました。まずは、この3回のアウトリーチで中心的な楽曲となるラヴェル作曲の弦楽四重奏曲の中から第2楽章を演奏。純粋に音色を聴いてもらった後に、自己紹介を兼ねながら楽器のお話をしました。楽器の特徴やヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの個々の音色を聴いてもらいました。次に、聴きなじみのあるモーツァルト作曲のアイネクライネナハトムジーク第1楽章を演奏し、弦楽四重奏での各楽器の役割を理解してもらいました。弦の音楽を四人で重なって演奏することを「弦楽四重奏」といいます、とホワイトボードに書くと子どもたちも納得の表情を浮かべていました。そして、弦楽器には様々な弾き方(奏法)があることを紹介して、最後にラヴェルの弦楽四重奏曲第1楽章を演奏し、1回目のアウトリーチは終わりとなりました。

20141024_Ariakesyo.jpg今回のアウトリーチでは、子どもたちと演奏者とで『交換日記』をすることになっています。子どもたちが書いた感想や質問に演奏者がコメントを書いて返すということを3回行います。一方通行ではなく双方向のコミュニケーションが取れることもこの3回連続アウトリーチの特徴だと思います。

セミナー生は最初は表情や話しかけ方に固さがありましたが、2クラス目には少しだけ慣れた様子でした。初めは自分たちのことで精一杯だと思いますが、だんだんと子どもたちのほうへアンテナを張って、小さなことでもひろってあげられるようになるとよくなると思います。(TANスタッフ)

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■2回目レポート■

2回目は「音楽を聴いて自由に想像してみよう」というテーマで実施をしました。まずは曲に表題やタイトルが付いているものを聴いてもらい想像をしてもらいます。ヴィヴァルディ作曲の『四季』より「春」では、「暖かな感じ」「元気になる感じ」などの感想が出ました。同じく「冬」では、「凍えている感じ」「嵐のような感じ」などの感想が出ました。次はエルガー作曲の「愛のあいさつ」を曲名を言わずに聴いてもらい感想を聞きました。「楽しい感じ」「明るい感じ」などの感想が出て、演奏者が「この曲は大好きな奥さんのために作曲をした曲です。誰かのことを大好きと思う気持ちが表れているかな?」と話をすると子どもたちもなるほど~という表情をしていました。

20141208_Ariakesyo.jpgそして、「次からは2曲演奏をするのでそれぞれに自分の思う題名や感想、物語を書いてください」と言うと、子どもたちは「え~!」と言いながらもやる気満々の様子で、演奏に真剣に耳を傾けていました。演奏はラヴェルの弦楽四重奏曲第3楽章からゆったりした部分と第4楽章から少し激しい部分を取り上げました。

今回のアウトリーチでは、音楽は自分なりに想像をしながら聴くことができ、そこが楽しみの一つでもあるということが子どもたちに伝わったのではないかと思います。クラシック音楽では、これから初めて出会う曲が多くあると思いますが、そんな時に最初から難しいと思わずに心を開いて聴いてもらえたら嬉しいです。(TANスタッフ)

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■3回目レポート■

3回目は1回目と2回目を踏まえて、ラヴェルの弦楽四重奏曲を全楽章聴いてもらいました。前回から2ヶ月の期間が空いたため、まずは軽く自己紹介や今までの振り返りの時間をとりました。また、2回目のアウトリーチのときに子ども達が音楽を聴いて書いてくれた曲の題名や感想が掲示されており、ランチルームに入ってきた時に、自分達がどんなことを書いたのか、他のお友達が何を思って聴いていたのかを見ながら席に着きました。

20150223_Ariakesyo.jpg演奏が始まる前に「今まで1つ1つ別々に聴いてもらっていたこの曲、実は全部通すと30分もあるよ」と演奏家の人達が伝えると子どもたちはとてもびっくり。それもそのはず、クラシックの演奏を30分も聴き続けたことのある子なんてほとんどいません。しかし、驚いていた子ども達も曲が始まると演奏家たちの情緒あふれる演奏に集中し、曲の世界に引き込まれている子もたくさんいました。
1回目と2回目にカルテットの編成や楽器について、また奏法などについて知識を得たことで子どもたちもなんとなく聴くのではなく、一つ一つ想像を膨らませながら聴く事ができたのではないかと思います。

最後に感想を聴いてみると「長かったけどとても良かった」や「気持ちよくて眠くなりそう」など、初めてのクラシック鑑賞に満足していたようでした。(インターン 山上)

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3回のアウトリーチを終えて、子どもたちの感想からいくつかご紹介します。

◆今回4曲を続けて聞きました。続けて聞いていて前より少しちがう感じに聞こえました。音を聞いているとなめらかな音楽なのでいまにもねてしまいそうです。ぼくは、こんなにもはもるときれいに聞こえるんだなぁと思いました。また曲を聞きたいのでコンサートに行きます。

◆まず演奏している4人の方がすごいと思いました。30分もあるのにずっと手を止めず演奏していて手はつかれないのですか?次に思ったことは曲のイメージで、とても四季を感じました。最初が少しあかるい感じの春、次ははげしい感じの夏、その次は少し悲しい秋、最後はとても悲しい冬というように感じました。またきかいがあったらもう1度聞きたいです。

◆音がはげしい時や音が小さく悲しい音、ずっと一定の音のまま続く音などたくさんの音を聞いて、いろいろそうぞうしながら聞けたのでよかったです。また、弦楽器にふれあい少し興味を持ちました。ほかの弦楽四重奏の曲も聞いてみたいです。「はじめてのクラシック」は本当に楽しかったです。

プロフィール

柳瀬省太  (ヴィオラ)
 5歳よりヴァイオリンを始め、吉永清子、小国英樹、久保陽子の各氏に師事。第41回全日本学生音楽コンクール西日本大会高校の部第2位。
 18歳よりヴィオラを始め、店村眞積、岡田伸夫の各氏に師事。東京藝術大学音楽学部、桐朋学園ソリスト・ディプロマコースに学ぶ。2002年、文化庁芸術家在外派遣研修生としてイタリア・パドヴァに留学。
 2004年から2009年までシュトゥットガルト州立歌劇場管弦楽団、2009年4月から神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席奏者。ストリング・クヮルテットARCO、サイトウキネンオーケストラのメンバー。サイトウ・キネンフェスティバル松本、宮崎、北九州など音楽祭、チェリストのマリオ・ブルネロ主宰のオーケストラ・ダルキ・イタリアーナの参加、JTアートホール室内楽シリーズの出演、リサイタルなどで活躍。また、2000年から2002年にかけて、さいたまアーツシアターカルテットでベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会を行った。第1回松方ホール音楽賞、大阪文化祭賞を受賞。
藤田尚子  (ヴァイオリン)
霧島国際音楽祭を修了しコンサート出演。2011年武生国際音楽祭出演。2012年ヴィオラスペースにてガース・ノックス氏と室内楽で共演。これまでにジュニアフィル・桐朋学園オケ・8音大オケ・小澤塾オペラプロジェクトなどでコンサートミストレスとして出演。第7回横浜国際音楽コンクール第2位。第16回ブルクハルト国際音楽コンクール最高位。これまでに勅使河原真実・藤原浜雄の各氏に師事。
青嶋祥代  (ヴァイオリン)
第6回岐阜国際音楽祭コンクール第1位、第8回セシリア国際音楽コンクール第4位、第34回コンセールヴィヴァン新人オーディション合格、第30回江戸川区新人演奏会オーディション部門最高位受賞、東京国際芸術協会第59回新人演奏会オーディション合格、ならびに優秀新人賞受賞。桐朋学園大学音楽学部を経て、同大学研究科一年に在籍中。現在ヴァイオリンを辰巳明子氏に師事。
大森健一  (チェロ)
東京芸術大学音楽学部器楽科チェロ専攻卒業。東京音楽大学大学院科目等履修生修了。その後リスト音楽院(ハンガリー)とリセウ音楽院(スペイン)に留学。市川市文化振興財団第27回新人演奏家コンクール弦楽器部門 優秀賞。これまでに花崎薫、苅田雅治、ドミトリー・フェイギン、チャバ・オンツァイ、ルイス・クラレットの各氏に師事。