■1回目レポート■
1回目は「弦楽器のことを知ろう」というテーマで実施をしました。まずは、この3回のアウトリーチで中心的な楽曲となるラヴェル作曲の弦楽四重奏曲の中から第2楽章を演奏。純粋に音色を聴いてもらった後に、自己紹介を兼ねながら楽器のお話をしました。楽器の特徴やヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの個々の音色を聴いてもらいました。次に、聴きなじみのあるモーツァルト作曲のアイネクライネナハトムジーク第1楽章を演奏し、弦楽四重奏での各楽器の役割を理解してもらいました。弦の音楽を四人で重なって演奏することを「弦楽四重奏」といいます、とホワイトボードに書くと子どもたちも納得の表情を浮かべていました。そして、弦楽器には様々な弾き方(奏法)があることを紹介して、最後にラヴェルの弦楽四重奏曲第1楽章を演奏し、1回目のアウトリーチは終わりとなりました。
今回のアウトリーチでは、子どもたちと演奏者とで『交換日記』をすることになっています。子どもたちが書いた感想や質問に演奏者がコメントを書いて返すということを3回行います。一方通行ではなく双方向のコミュニケーションが取れることもこの3回連続アウトリーチの特徴だと思います。
セミナー生は最初は表情や話しかけ方に固さがありましたが、2クラス目には少しだけ慣れた様子でした。初めは自分たちのことで精一杯だと思いますが、だんだんと子どもたちのほうへアンテナを張って、小さなことでもひろってあげられるようになるとよくなると思います。(TANスタッフ)
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■2回目レポート■
2回目は「音楽を聴いて自由に想像してみよう」というテーマで実施をしました。まずは曲に表題やタイトルが付いているものを聴いてもらい想像をしてもらいます。ヴィヴァルディ作曲の『四季』より「春」では、「暖かな感じ」「元気になる感じ」などの感想が出ました。同じく「冬」では、「凍えている感じ」「嵐のような感じ」などの感想が出ました。次はエルガー作曲の「愛のあいさつ」を曲名を言わずに聴いてもらい感想を聞きました。「楽しい感じ」「明るい感じ」などの感想が出て、演奏者が「この曲は大好きな奥さんのために作曲をした曲です。誰かのことを大好きと思う気持ちが表れているかな?」と話をすると子どもたちもなるほど~という表情をしていました。
そして、「次からは2曲演奏をするのでそれぞれに自分の思う題名や感想、物語を書いてください」と言うと、子どもたちは「え~!」と言いながらもやる気満々の様子で、演奏に真剣に耳を傾けていました。演奏はラヴェルの弦楽四重奏曲第3楽章からゆったりした部分と第4楽章から少し激しい部分を取り上げました。
今回のアウトリーチでは、音楽は自分なりに想像をしながら聴くことができ、そこが楽しみの一つでもあるということが子どもたちに伝わったのではないかと思います。クラシック音楽では、これから初めて出会う曲が多くあると思いますが、そんな時に最初から難しいと思わずに心を開いて聴いてもらえたら嬉しいです。(TANスタッフ)
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■3回目レポート■
3回目は1回目と2回目を踏まえて、ラヴェルの弦楽四重奏曲を全楽章聴いてもらいました。前回から2ヶ月の期間が空いたため、まずは軽く自己紹介や今までの振り返りの時間をとりました。また、2回目のアウトリーチのときに子ども達が音楽を聴いて書いてくれた曲の題名や感想が掲示されており、ランチルームに入ってきた時に、自分達がどんなことを書いたのか、他のお友達が何を思って聴いていたのかを見ながら席に着きました。
演奏が始まる前に「今まで1つ1つ別々に聴いてもらっていたこの曲、実は全部通すと30分もあるよ」と演奏家の人達が伝えると子どもたちはとてもびっくり。それもそのはず、クラシックの演奏を30分も聴き続けたことのある子なんてほとんどいません。しかし、驚いていた子ども達も曲が始まると演奏家たちの情緒あふれる演奏に集中し、曲の世界に引き込まれている子もたくさんいました。
1回目と2回目にカルテットの編成や楽器について、また奏法などについて知識を得たことで子どもたちもなんとなく聴くのではなく、一つ一つ想像を膨らませながら聴く事ができたのではないかと思います。
最後に感想を聴いてみると「長かったけどとても良かった」や「気持ちよくて眠くなりそう」など、初めてのクラシック鑑賞に満足していたようでした。(インターン 山上)
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3回のアウトリーチを終えて、子どもたちの感想からいくつかご紹介します。
◆今回4曲を続けて聞きました。続けて聞いていて前より少しちがう感じに聞こえました。音を聞いているとなめらかな音楽なのでいまにもねてしまいそうです。ぼくは、こんなにもはもるときれいに聞こえるんだなぁと思いました。また曲を聞きたいのでコンサートに行きます。
◆まず演奏している4人の方がすごいと思いました。30分もあるのにずっと手を止めず演奏していて手はつかれないのですか?次に思ったことは曲のイメージで、とても四季を感じました。最初が少しあかるい感じの春、次ははげしい感じの夏、その次は少し悲しい秋、最後はとても悲しい冬というように感じました。またきかいがあったらもう1度聞きたいです。
◆音がはげしい時や音が小さく悲しい音、ずっと一定の音のまま続く音などたくさんの音を聞いて、いろいろそうぞうしながら聞けたのでよかったです。また、弦楽器にふれあい少し興味を持ちました。ほかの弦楽四重奏の曲も聞いてみたいです。「はじめてのクラシック」は本当に楽しかったです。