今回のアウトリーチは、4年生2クラスを対象として行いました。
はじめは4年1組のアウトリーチ。
まずはボッケリーニ作曲のマドリードの帰営ラッパを演奏しながら子どもたちが待つ音楽室へ入場。次に、「フィガロの結婚」序曲を演奏したあと、各パートの自己紹介と楽器の説明を行いました。
この後モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の演奏へと続くのですが、子どもたちでも耳馴染みがあるであろうこの曲にさらに深く興味を持ってもらうため、チェロ→ヴィオラ→2ndヴァイオリン→1stヴァイオリンという順番でひとりずつパートを重ねながら演奏しました。チェロやヴィオラだけでは何となく聴いたことがあるかも知れない曲ということしかわからなかった子どもたちが、2ndヴァイオリンや1stヴァイオリンの旋律が入って曲の正体がわかる、という形で子どもたちの頭を刺激するのと同時に、旋律以外の音にも耳を傾けてもらうような流れが作られていて、とても印象的でした。これはきっと、よく知られている曲だからこそできる仕掛けなのだと思います。
モーツァルトの次にはアンダーソン「プリンク・プランク・プランク」で、ピツィカート奏法を取り入れながらの演奏。ひょうきんな曲に合わせて演奏にもいろいろな仕掛けがしてあり、子どもたちの目は4人に釘付けになっていました。
この小学校の子どもたちはアウトリーチを受ける少し前にヴァイオリンコンサートを鑑賞する機会があり、そこでこの曲を聴いていたようです。しかし、その時は遠い場所から演奏を聴いていたために奏法の細かい様子が見えなかったそうですが、今回は目の前でそのとき謎だった演奏が近くでみられたことで、子どもたちの目がきらきらしていたのだろうと、アウトリーチの後に音楽の先生が教えてくださいました。普段のコンサートでは決して観られない・聴けない距離で音楽を体験できることがアウトリーチの醍醐味なのだと、改めて感じさせられました。
最後にドビュッシー弦楽四重奏の第一楽章を演奏して本プログラムは終了。この曲はとても渋い曲なのですが、こどもたちがじっと聴いている様子にとても感動しました。
アンコールでは子どもたちと「大切なもの」を歌と楽器で共演しました。
このクラスはとてもおとなしい子が多い印象でしたが、それでも、エクセルシオの4人が問いかけると控えめながらも素直に反応してくれたり、演奏する曲によって表情が変化する様子であったりと、子どもたちなりにいろいろと感じ・考えてくれたのではないかと思います。
4年2組のアウトリーチは、1組のアウトリーチが終わってすぐに行われました。プログラムは1組と同じものでしたが、こちらのクラスの子どもたちは元気いっぱいの様子で、楽器説明やアイネ・クライネ・ナハトムジークの演奏クイズ、プリンク・プランク・プランクの時にも子どもたちから大きな反応がありました。けれども最後のドビュッシーでは1組と同様に、じっと耳を傾けていました。
同じ学校、同じ学年でも、クラスによって印象が違うことにとても驚きました。今回、その違いはわずかなものでしたが、アウトリーチでは普段のコンサートよりも演奏者と聞き手が近いからこそ、少しの雰囲気の違いが演奏される音楽の印象を大きく変えるということを感じた今回のプログラムでした。(インターン/西村聡美)