レポート
新年明けて間もない1月6日、晴海トリトングランドロビーにて、コンサート「新春に響く日本の調べ」が開催されました。今回は杵屋五司郎先生指導による「こども三味線教室」を受講した、中央区の小学生12人も参加。オープニングに『さくらさくら』など練習の成果を披露し、会場の拍手を浴びて誇らしげでした。
黒紋付をきりりと纏った日本音楽集団の皆様の演奏は、大凧の飾られた新春のグランドロビーに凛と響きました。笛の音は心の奥まで染み通り、鼓の音も心地よく、年頭にあたって身の引き締まる思いでした。杵屋五司郎氏の、気迫のこもった格調高い三味線の演奏には、お昼休みのビジネスマンの方々も思わず足を停めて真剣に聴き入っていました。また歌舞伎『勧進帳』の臨場感溢れる解説にも惹き込まれました。バッハだけではなく、日本にも300年以上続いてきた音楽の伝統、世界に誇る高い技術がある事を再確認したコンサートでした。
[レポート／サポーター 小林美恵子 写真／サポーター 藤井利勝]
プロフィール
日本音楽集団
１９６４年、流派を超えて集まった邦楽器の演奏家や作曲家ら14名によって設立。１９９９年に特定非営利活動法人として認定。
年間4回の定期演奏会は、旧第一生命ホールでの第１回定期演奏会より、平成２１年１１月には１９７回目の定期演奏会を開催するに至り、毎年５月と１１月にはＮＰＯ法人トリトン・アーツ・ネットワーク（ＴＡＮ）と共催で現在の第一生命ホールで定期演奏会を行っている。また、全国各地の鑑賞団体や文化施設、学校での音楽鑑賞会、さらには放送、映画、演劇等さまざまな分野で演奏活動を行っている。また、アマチュアの為の合奏講習会開催他、多くの子供たちに邦楽を広め、アウトリーチにおいては、お年寄りや障害を持つ方にも楽しんでいただける活動へも取り組んでいる。これまでに世界32カ国152におよぶ都市で公演を行ない、ニューヨーク・フィルとの共演など今までの邦楽と一線を画した演奏は海外でも高い評価を得ている。ＴＡＮのコミュニティ活動では中央区内小学校での巡回公演「Meet the 和楽器」や福祉施設でのアウトリーチ活動を行っている。
杵屋五司郎 （きねや・ごしろう ／ 三味線）
東京藝術大学音楽学部卒業。杵屋五三吉(杉浦弘和)氏に師事。伝統音楽の長唄、現代邦楽の両方で演奏活動をすると同時に、作曲にも取り組み、国内外で活躍。2001年昭和音楽大学講師、02年東京藝術大学音楽学部邦楽科非常勤講師となる。08年九州大学講師となる。NPO日本音楽集団団員、長唄東音会所属。
簑田弘大 （みのだ・こうだい ／ 三味線）
杵屋五司郎と日吉静永の長男として生まれる。東京藝術大学音楽学部卒業。08年昭和音楽大学非常勤嘱託に着任。長唄三味線を杵屋五三吉、杵屋五吉郎、長唄を稀音家六静世、東音西垣和彦の各氏に師事。古典から現代、作曲活動また音楽教育まで幅広く活動している。日本音楽集団団員。和楽団煌、アンサンブル室町、長唄東音会所属。
盧 慶順 （ろ・きょんすん／邦楽囃子・打物）
山口県下関市生まれ。在日韓国人三世。邦楽囃子演奏家として古典邦楽、現代音楽などの幅広い分野で活動している。邦楽囃子を望月太喜之丞師、江戸囃子を故丸謙二郎師、長唄三味線を杵屋五司郎師に師事。大阪外国語大学地域文化学科卒業。東京芸術大学音楽研究科邦楽囃子専攻（博士課程）修了。日本音楽集団団員。
島村聖香 （しまむら・せいか／邦楽囃子・打物）
広島県出身。1996年より邦楽囃子を望月太喜之丞師に師事する。2001年東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。同年宮中桃華学堂に於て御前演奏を許される。03年同大学大学院音楽研究科修了。日中文化交流北京公演に参加。「邦楽玉手箱inひろしま」企画、公演。「青少年国際平和未来会議ヒロシマ」にて演奏。日本音楽集団団員。
新保有生 （しんぼ・ありあ／笛）
東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。安宅賞受賞。笛を鳳声晴由氏に、打物を堅田喜俊氏に師事。NPO日本音楽集団団員。古典・現代・作曲と、日本の音楽に関して幅広く活動中。
子どものための三味線教室について
杵屋五司郎監修により、2011年9月～10月に未経験の小学生対象で行った三味線教室。2011年10月30日に開催された「中央区まるごとミュージアム」にて練習の成果を発表しました。今回のコンサートにて受講生の皆さんが再び演奏します。
