みなさんは「よろこびの歌」という曲を知っていますか。小学校で歌ったり、リコーダーなどの楽器で演奏したりしたことがあるというお友だちもいるかもしれませんね。ベートーヴェンがつくった交響曲第9番の中に出てくる曲です。交響曲というのは、たくさんの楽器で演奏するオーケストラのための曲ですが、ベートーヴェンは9番目に作った交響曲の最後に、歌詞のついた歌を入れたのです。
「よろこびの歌」の詩を書いたのは、シラーというドイツの詩人です。ベートーヴェンはまだ生まれた町ボンに住んでいた21さいのころまでにこの詩を知って、音楽をつけようとしていたことが分かっています。詩の中の「すべての人々は兄弟になるのだ」という言葉が、貴族も平民も関係ない音楽をつくりたいと思っていたベートーヴェンの心にひびいたのでしょうか。
それから30年以上たった53さいの時、交響曲第9番「合唱つき」(交響曲第9番なので「第九」とも呼ばれます)が生まれます。曲は4つの楽章からできていて、全部演奏すると70分くらいかかりますが、歌が出てくるのは、第4楽章です。ベートーヴェンはシラーの元の詩の中から「いいな」と思ったところを選びだし、自分の言葉も付け足して、理想の歌詞にしました。バリトン(低い声の男性歌手)がひとりで歌い始める、「おお友よ、このような音楽ではない!もっとよろこびにあふれた歌を歌おう」という部分はベートーヴェンの言葉です。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
1770年ドイツのボン生まれ。小さいころに父からピアノを習い始めます。オーストリアのウィーンに住み、9曲の交響曲をはじめ、32曲のピアノ・ソナタ、16曲の弦楽四重奏曲など、数多くの優れた曲を残しています。
交響曲、弦楽四重奏曲など、
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トリトンアーツ通信vol.203(2021年10月号)の記事を再掲しました