今年はサポーターと協同した新企画として、初心者の方にも気軽にクラシックを楽しんでいただきたいと「クラシック入門講座~初めてのモーツァルト(全2回)」を開講しています。
先日、第1回が行われ、昭和音楽大学教授(音楽学)有田栄先生と、ソリストとして、そしてN響でも活躍されている若手ホルン奏者の福川伸陽さんをお招きし、モーツァルトの魅力についてお話いただきました。その中から少しご紹介します。
まず有田先生の、「現代とモーツァルトが生きていた時代とでは常識が異なっていました、モーツァルトの時代を知ることにより、彼らの音楽が見えてくるのではないでしょうか?」というお言葉から講座は始まりました。
特にモーツァルトが活躍していた18世紀は、クラシック音楽史の中で一番の変革期であったそうです。オーケストラ編成、そして楽器自体も、現在私たちが普段聴いているものとは随分違っていました。ホルンもその一つで、現在のホルンとは構造が異なっていたのです。
モーツァルトの時代のホルン(ナチュラルホルン)は、一つの楽器で出せる音が限られていて、演奏の途中で調性が変わる曲の場合、別のホルンに持ち替えなくてはならなかったそうです。そのために調が変わる前の何十小節か、ホルンはお休み、としてくれている作曲家もいたとか。現在のホルンは、一つの楽器で全ての音程が均一な音色で出るように、進化しています。
オーケストラの楽器が「美しい響き」を追求して進化していくに従って、異質な音やノイジーな音を排除する傾向があるけれども、それについて福川さんは「当時のホルンで出る多少ノイズの混じった音は、それぞれ意味を持っていて、均一な音になった事でその様な意味合いが薄れてしまった事は少し残念」と仰っていました。
福川さんご持参の新旧二つのホルンで、短いメロディを聴き比べると・・・、なるほど、全くニュアンスが違って聴こえるものですね。
また、いたずら心に溢れていたモーツァルトのエピソードとして、モーツァルトが仲の良いホルン奏者のために書いたと言われる「ホルン協奏曲第1番」の自筆譜もご紹介いただきました。普通、楽譜の中に文字で書かれているのは、「穏やかに」とか「快活に」といった演奏のための指示ですが、モーツァルトはホルンソロの部分に、「ほらほら、もっとしっかり」とか、「うまくいったね」とか、友人がどんな演奏をするか全て見通してからかうような遊び心に溢れた書き込みをたくさんしていました。
演奏中、楽譜に書いてあるそんなメッセージを読んだら、思わず笑ってしまって困りますね。
ここで全てをご紹介しきれないのが残念ですが、モーツァルトが、ホルンが、クラシックが大好きになってしまう、そしてもっと知りたい!と思うお話をたくさんしていただき、有田先生と福川さんのモーツァルトへの愛に溢れる90分間となりました。
福川さん出演の「モーツァルト・ガラ・コンサート」への期待も高まりますね。
第2回「クラシック入門講座~初めてのモーツァルト」は、9月8日に実施します。次回は、有田先生がモーツァルトにまつわる"おもしろエピソード"を交えて、クラシックのコンサートを楽しむためのお話をたっぷりして下さいます。
8/16までお申し込み受付中です!ハガキにてご応募ください。
クラシック入門講座 ~初めてのモーツァルト(全2回)
【第2回】 コンサートを百倍楽しむための 「おもしろ雑学」
日時:2013年9月8日(日)13:30~15:00
会場:中央区立月島社会教育会館 講習室
入場無料(ハガキでの事前申込制)※未就学児はご遠慮ください
申込締切:8月16日(金)必着
申込み方法詳細は こちら