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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

基本情報

日時 2016年7月5日(火)
年少組9:15~9:35/年中組9:50~10:20/年長組10:40~11:10
出演 Quartet MIYABI
[前田奈緒/北見春菜(ヴァイオリン) 髙橋梓(ヴィオラ) 印田陽介(チェロ)]
概要 実施会場:日本橋幼稚園 ランチルーム
対象者:幼稚園児とその保護者
人数:約120名
文化庁「平成28年度劇場・音楽堂等活性化事業」

レポート

この日は、子どもたちにとって身近な生き物や歌を題材として、音楽の楽しさを共有するプログラムのアウトリーチが行われました。

まず、年少クラスの子どもたちが椅子に座って期待に胸を膨らませているところに、チェロを持った印田さんが登場し、「きらきら星」をピチカートで演奏します。そこへヴァイオリンの前田さんと北見さん、ヴィオラの高橋さんが楽器を演奏しながらやってきました。美しい楽器の響きと華やかなドレスに、子どもたちの表情は一気に明るくなりました。

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楽器紹介と自己紹介が終わると、「牛」「犬」「猫」のイラストを子どもたちに見せて、それぞれの楽器で動物の鳴き声を模倣して音を出します。子どもたちは「わかった!うし!」「いぬ!」「ねこ!」と身を乗り出して答えます。中には鳴きまねをする子どももいました。子どもたちの楽器に対する興味が引き出されたところで、「ワルツィング・キャット」の演奏です。最後のところでヴィオラが犬の鳴き声の模倣をすると、子どもたちにとても受けていました。

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次に「楽器を使ってお絵かきをしたいと思います。良く耳をすませて聴いてください。」と言って「かえるのうた」をヴァイオリンだけで演奏。その時、蛙の絵が画用紙に登場、「蛙が一匹でさみしそうだね。」と言って、今度はヴァイオリン・チェロの二重奏。この時に、黒の線だけで紫陽花の花や葉を書いた透明なフィルムが蛙の背景に差し込まれました。「この絵をもっと素敵にするには、どうしたらいいかな?」と聞くと、「色を塗る!」という声があがりました。高橋さんが「そう、色を塗るのがヴィオラのお仕事です。」と言い、三重奏で演奏を始めました。すると蛙の絵の背景に紫陽花の花や葉に鮮やかな色を付けたフィルムが差し込まれました。北見さんはかたつむりの絵を蛙の隣に置いて演奏に参加、豊かな弦楽四重奏の世界が生まれました。子どもたちは楽器の響きやハーモニーを堪能している様子でした。

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それからカルテットの演奏でみんな一緒に「たなばたさま」を合唱し、続いてハイドンの弦楽四重奏曲Op50-6第4楽章を聴きました。これは「蛙」という名がつけられている通り、曲のあちこちでカエルの鳴き声のような音が聴こえてきます。これも子どもたちは興味津々で聴いていました。最後に子どもたちは誇らしげな表情で、園歌を元気良く歌ってくれました。年中と年長クラスでは、きらきら星の代わりにカルメン前奏曲の演奏、最後にベートーヴェンの弦楽四重奏曲Op18-1第4楽章の演奏を聴きました。最後の曲の真剣な演奏に、子どもたちの集中もこの日一番高かったようです。

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今回は絵を使うことで子どもたちが集中し、想像力が効果的に引き出されました。メンバーたちの子どもたちへの語りかけも上手で、音楽を聴く時のポイントがていねいに工夫されていたことがとても良かったと思いました。音楽はみんなで一緒に演奏したり歌ったりすると楽しいね、というメッセージが子どもたちの心にしっかり伝わっていたと思います。それだけでなく、生演奏の力を肌で感じ取ってくれたのではないでしょうか。とても素晴らしいアウトリーチプログラムでした。
(サポーター 鈴木香代子)

プロフィール

   
Quartet MIYABI (クァルテット・雅)

認定NPO法人トリトンアーツ・ネットワーク主催「室内楽アウトリーチセミナー」修了生、「サントリーホール室内楽アカデミー」第1期生にて結成。2016年6月、室内楽を楽しむ会主催「室内楽の愉しみ No.6 若い演奏家による弦楽四重奏の夕べ」にて初公演を行う。今後は演奏活動を行うとともに、中央区内の幼稚園、認定こども園、千葉市内の小学校でのアウトリーチ活動にも積極的に取り組む。


前田奈緒前田奈緒 Maeda Nao(ヴァイオリン)

11歳で渡英し、ロンドンでイフラ・ニーマン、パリでミシェル・オークレールのもとで学ぶ。英国王立音楽院ジュニアアカデミー、東京芸術大学附属高校を経て、同大学卒業。大阪国際音楽コンクール第1位、およびプレジデント賞。日本クラシック音楽コンクール第2位(最高位)。全日本学生音楽コンクール全国大会第1位、および兎束賞、東儀賞受賞。日本音楽コンクール本選入選、他多数受賞。室内楽ではリゾナーレ室内楽セミナー奨励賞受賞。東京交響楽団、芸大フィル、ライプツィヒ・カルテット、ラデク・バボラーク、ノエ・乾、高橋多佳子、モナ=飛鳥・オット等と共演。クラシック・ヨコハマ、六花亭ホール、磐梯国際音楽祭等各地でソロリサイタル行う。サントリーホール室内楽アカデミー第1期生としてサントリーホールチェンバーミュージックガーデンに出演。またサントリーホールオープンハウス、ラフォルジュルネエリアコンサート出演するなど、ソロ、室内楽等幅広く活動を行う。東京芸術大学管弦楽研究部非常勤講師として芸大フィルハーモニアに所属。



北見春菜北見春菜 Kitami Haruna(ヴァイオリン)

桐朋学園大学音楽学部卒業、同大学研究生及び桐朋オーケストラ・アカデミー研修課程生修了。小澤征爾音楽塾、サイトウ・キネン・フェスティバル 松本「子どものための音楽会」「青少年のためのオペラ」出演。認定NPO法人 トリトン・アーツ・ネットワーク「2012年度 室内楽アウトリーチセミナー」受講。第一生命ホール「オープンハウス」「ロビーでよちよちコンサート」出演。サントリーホール室内楽アカデミー第1期生、第2期生修了。「オープンハウス~サントリーホールで遊ぼう!」「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」出演。横浜市栄区民文化センターリリス・レジデンス・アーティスト。





髙橋梓髙橋梓 Takahashi Azusa(ヴィオラ)

東京芸術大学附属音楽高校、同大学を経て、同大学院音楽研究科修士課程修了。サントリーホール室内楽アカデミー第1・2期で研鑽を積む。第3回独・クヮッケンブリュック国際芸術コンクール第1位、第9回日本演奏家コンクール第1位及び芸術賞、第7回仏・ボルドー国際弦楽四重奏コンクール特別賞、リゾナーレ室内楽セミナー音楽賞および奨励賞受賞。これまでにNHK-FM「名曲リサイタル」、新進演奏家育成プロジェクト、サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン等に出演。これまでに堤剛、若林顕、竹澤恭子、M.ブルネロ、R.バボラーク、カルミナ・クァルテット、クァルテット・エクセルシオと共演。





印田陽介印田陽介 Inda Yosuke(チェロ)

東京藝術大学附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部卒業後、チェコ・プラハ音楽院に留学、更なる研鑽を積む。これまで斎藤章一、河野文昭、菊地知也、上森祥平、ヴラダン・コチの各氏に師事。帰国後、オーケストラとの協奏曲の共演など、ソリストとして活動するほか、ヴァイオリニストの姉・印田千裕とのデュオリサイタル、演劇とのコラボレーション、インストゥルメンタルバンド「ハリーのしっぽ」、そのほか各種室内楽、オーケストラ等、幅広く活動している。蓼科音楽コンクールin東京・室内楽部門第1位、ユースプラハ国際音楽コンクール・弦楽アンサンブル部門金賞ほか多数受賞。